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第28回『ノールーズ―春分が元日のイラン太陽暦』
こよみの博士ひろちか先生
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清明は二十四節気の第5番目です。西暦の4月4,5日頃にあたり、今年は4月5日でした。中国ではこの日から3連休でした。そこでは清明節と称し、墓掃除や墓参りが欠かせません。台湾でも民族掃墓節(清明節)として知られ、4日から6日までがやはり3連休でした。

韓国では6日(日)が寒食という先祖の墓参りの日ですが、祝日にはなっていません。日本では沖縄や奄美でシーミーとよばれ、お墓に親族が集まり、そこでお供えや食事をします。しかし、国民の祝日ではありません。

清明は春分から数えて15日目ころにあたり、万物が生き生きと活動をしはじめる時節です。「清浄明潔」の略といわれ、冬の雪や寒さから解き放たれ、清らかで明るい気候をたのしむことができます。それはまた、先祖にとっても重苦しい冬からの解放を意味します。墓掃除や墓参りが子孫にとってのつとめと意識されているからです。

ところで、寒食とはもともと中国の習俗です。それは冬至から数えて105日目にあたり、風雨が激しいので火の使用を禁じたことに端を発しています。寒い食事、つまり冷食をしなくてはいけない日です。

清明節のにぎわいを描いた図として有名なのが清明上河(じょうが)図です。北宋の都、開封の繁栄ぶりを描写した絵巻物です。張択瑞の作品とされ、風俗画として高い評価を受けています。そこには驚くべきことに人物1643人、馬やラクダなどの動物が208匹も描き込まれているのです。都城の建物、道路、橋、車、船なども精細に盛り込んでいて、見る者を飽きさせません。若草を踏む清明節ならではの当時の風俗にも注意がはらわれています。

宋代の清明上河図は北京の故宮博物院に収蔵されていますが、2010年の上海万博の時にはコンピューター・グラフィックスの画像として横長の巨大スクリーン(長さ120m、高さ6.5m)に投影されていました。兵馬俑の馬とともに中国館の目玉の展示となっていましたが、人物と動物はすべて動きをともない、「動く絵巻」として圧巻でした。それも、夜と昼のシーンを切り替え、交互に見せていました。オリジナルの絵巻にはないCGならではの演出がさらに魅力を増していました。

ところで2012年、北朝鮮のカレンダーに異変が生じました。4月4日が赤マークで祝日となっていたのです。これはいったい何の祝日かと注目されましたが、結局のところ清明節であることに決着しました。それは先祖祭祀の容認とうけとることができる一方、その真意をはかりかねるところもあります。
しかも、4月15日は金日成初代主席の誕生日にあたる祝日であり、4月25日は朝鮮人民軍創建記念日です。4月の軍事行動はカレンダーと関係しているようにもみうけられます。しかし、真相はさだかではありません。

北朝鮮の紀年法も独特です。金日成主席の誕生年である1912年を元年とする主体紀元がつかわれています。これが突然制定されたのが金日成3周忌と建国49周年に当たる1997年の9月9日のことでした。

今年は主体暦103年、台湾の民国暦103年、そして大正103年です。偶然とはいえ、奇しくも東アジアで符合する紀年法があるのです。何かいいことがあるといいのですが。

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日本カレンダー暦文化振興協会 理事長

中牧 弘允

国立民族学博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授。
吹田市立博物館館長。専攻は宗教人類学・経営人類学。

中牧弘允 Webサイト
吹田市立博物館Webサイト