伊勢神宮では神事に用いる塩を「御塩(みしお)」と呼んでいます。
倭姫命(やまとひめのみこと)が「ここで作りなさい」と教えたとされる
二見町汐合(ふたみまちしおあい)で、今も昔のままの塩作りが続けられています。
海水を採る「御塩浜」は、内宮を流れる五十鈴川が海に到達する辺りにあります。
この淡水と海水が混じりあう場所を選んだのは、きめ細かい塩を作るためだと言われ
ています。ここで約1週間をかけ潮位の干満を利用した
「入り浜式塩田(いりはましきえんでん)」という古くからの方法で、御塩作りが行われます。
まず、7月の土用(1年中で最も暑い時期)に潮水を汲み、天日にさらして濃くします。
それを釜で一昼夜かけて煮詰め、荒塩にするのです。
今でも釜は薪で炊いているのですよ。暑いさなか、ほんとうに大変な作業ですよね。
こうして製塩された荒塩は、御塩倉に納められ、10月と3月に三角錐の型に入れ
堅塩に焼き固められて、出来上がります。
塩や塩湖などの資源が乏しく、気候的にも高湿多雨で天日製塩にも適さない日本では、
海水から塩を取り出すために昔から様々な工夫をしてきたのですね。



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