木枯らし1号が吹き始めました。いよいよ冬の始まりです。くるくると回る木の葉は風がどんなふうに回っているか、どこに溜まっていくのか、日頃みることはできない風の姿をはっきりとみせてくれます。赤、黄、茶、緑。大きな葉、小さな葉、松葉、銀杏、くぬぎ、もみじ。大地に舞い降りる色も形もさまざまな木の葉は、自然界の宝石箱。日本人はその姿を「吹き寄せ」といって愛でてきました。語呂合わせから「富貴寄せ」とも書き、おめでたい文様として親しまれています。
その「吹き寄せ」を模した炊き込みごはんはいかがでしょうか。今は茸が豊富に出回っています。牛蒡も、旬の季節を迎えました。「吹き寄せご飯」は、しめじなどのきのこ類、松葉のように細長くささがきにした牛蒡、鮮やかな黄色の銀杏や栗、イチョウ切りにしたれんこん、もみじ型に抜いた人参などを一緒に炊いたものです。自然の美しさと恵みの豊かさを感じられる一品です。
吹き寄せられた葉はやがて土に帰り、小さな虫や微生物達を育むあたたかい布団となります。人間たちも布団を厚くしたり、こたつを出したり本格的な冬支度を始める頃。11月7日は立冬です。
私がお気に入りのお菓子、銀座・菊廻舎の「冨貴寄」。大正時代から続くロングセラーです。この写真は特選なので事前予約が必要です(銀座コアビル地下1F)。今度の映画「紫」上映会でお出しします。