旧暦ではようやく人日の節句を迎えました。昔の人々にとって、雪間から萌え出る青菜は、なによりのご馳走だったのではないでしょうか。三つ葉は七草にこそ上げられていませんが、セリ科の一種ですので、芹に集約されているといってもよいでしょう。
三つ葉は芹、水菜、蕗、山芋など、数少ない日本原産の野菜のひとつです。これからの季節、わかめのお吸い物や、茶碗蒸し、サラダや混ぜごはんのトッピングにと、何かと重宝するのが三つ葉です。
ところで、東京のわが家の雑煮といえば、焼いたお餅を入れる澄まし汁です。焦げ目のついたお餅の香ばしさと、かつお出汁とほのかな日本酒の香り、最後に三つ葉と柚子をのせて、まさに「香り尽くし」でいただくイメージが強くあります。
お雑煮に入れる「結び三つ葉」は茎を遮光して白くした軟白栽培で、しゃきしゃきした歯ごたえがあります。この軟白栽培は、江戸時代、葛飾区水元町で始まって、関東一円に広まったのだそうです。覆いをして早く育てる促成栽培(いわば現代のビニールハウスの走り)で、露地ものより早く出荷することも、すでに行われていたようです。
三つ葉は、いわば純正ハーブ。栄養価も高く、β?カロチンが豊富で、ビタミンC、カルシウム、カリウムも豊富です。糸三つ葉にはβ?カロチンが豊富で、カリウムは根三つ葉の方がたくさん含まれています。食欲増進はもとより、イライラやストレスを緩和するリラックス効果、血液の浄化、老化予防、風邪のひき始めにもいいようです。
七草にこだわる必要はないので、春のデトックスに、おひたしや卵とじにして、たっぷり食べてみてください。