七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

水辺の葭が芽吹きはじめるころ。山や野だけではなく、水辺にも春がやってきました。葭は葦とも書き、日本の古名の「葦原の国」は葦が生えていたことからとされています。昔から屋根やすだれなどに使われ、人々の生活に欠かせない存在でした。

  • 春から初夏にかけて咲くツツジからとられた色。あざやかな濃い赤紫色をしています。ツツジには、白や薄いピンクも見られますが、この色が代表的です。古くから観賞用として親しまれ、現在も街路樹や庭木として街中に彩りを与えてくれます。

  • 爽やかでやさしい黄緑色。名前の通り若葉の色で、夏前に見られる新緑をあらわした色です。明治以降に登場した比較的に新しい伝統色です。若芽色(わかめいろ)や若菜色(わかないろ)など新芽や緑をあらわした色は、早春から夏にかけて多く見られます。

  • 桜の花のようなうすいピンク色。春は街中がこの淡い色に染まります。今は染井吉野が多く植えられていますが、この色が使われはじめた平安時代には、山桜が主流でした。

  • 青みのある紫色で、藤の花からとられた色です。平安時代から女性の服の色として大変人気があり、時代とともに流行色として、藤鼠(ふじねずみ)、薄藤(うすふじ)、青藤(あおふじ)などの派生色もつくられました。

  • 勿忘草の花の色で、すこし紫がかった明るい青色。勿忘草はヨーロッパ原産で、明治時代に日本に入ってきました。この名前はドイツのある伝説から。恋人のため、川のほとりまで青い花を摘みに行った青年。残念なことに、足を滑らせ川に流されてしまいます。その時に言った「私を忘れないで!」という言葉が由来とされています。

  • 深みのある黄緑色。葉が青々としてきた頃の柳の色をあらわしています。初夏の頃の葉をあらわす柳色(やなぎいろ)を中心に、柳の名がつく色はたくさん作られました。しなやかに垂れさがった柳の姿は、上品で趣があることから俳句の季語としても多く詠まれています。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

暦生活フォローワー
暦生活ツイッター暦生活インスタグラム

ページトップ