七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

暖かい春風が吹き、川や池、湖などの氷が解け始めるころ。
東風は春風という意味で、中国で古くから親しまれる陰陽五行説において東が春を表すことからきています。春の始まりを知らせる七十二候の第一候目です。

  • 春が来たことを知られてくれる梅の花。
    春告草(はるつげくさ)や風待草(かぜまちぐさ)、香りがいいことから匂草(においぐさ)、香栄草(かばえぐさ)など、さまざまな名前があります。まだ寒さの残るこの頃にかわいらしく咲き、早春を彩ります。

  • 春に咲く代表的な花である、「梅・桃・桜」。
    開花時期が少し違うものの、どの花もピンクっぽい色で、すべてバラ科に属していることもありよく似ています。そのため、実は違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
     
    見分け方のポイントは2つ。まずは「花のつき方」。
    花と枝を見てみると、間に花を支える細い茎のようなものがついており、これは「花柄(かへい)」といいます。
     
    梅はこの花柄が見えず、枝から直接花が咲いています。そして一節に花芽が1つだけなので、ぽつぽつと上品に花が付きます。
    桃も花柄が非常に短いのですが、一節に花芽が2つ付くので、梅よりも華やかに見えます。
    桜は花柄が長く、花芽が房状についているので、花の数が多くとても華やかに見えるのが特徴です。

  • 見分け方のポイント2つ目は「花びら」。
    梅は花びらの先が丸くなっているため、かわいらしい印象です。桃は花びらの先が少し尖っています。そして桜は先が割れているため、ハートのような形をしています。遠くから見てわからない場合は、近づいて花びらを観察してみると違いがよくわかります。
     

    そして、肝心な開花時期ですが、梅は1月下旬に沖縄・九州地方で咲きはじめ、2月〜3月に関西・関東、3月〜4月に東北、4月〜5月に北海道と北上していきます。
     
    桃は、3月上旬に沖縄・九州、3月中旬に関西・関東、4月上旬に東北、4月〜5月に北海道となります。
    桜は、3月下旬に沖縄・九州、3月下旬〜4月上旬に関西・関東、4月中旬に東北、4月下旬〜5月に北海道となり、東北や北海道では、3つの花の開花時期が同じになることもあります。なんとも贅沢なお花見の時期ですね。
     
    今年は暖冬のため、全国的に早めに開花時期を迎えそうです。冬を越え、いきいきと元気に咲く姿が見られますように。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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