七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

「カナカナ」と、まるで夏の終わりを惜しんでいるかのように
ひぐらしが鳴くころ。
ひぐらしは秋の季語にもなっており、朝夕に優しくほんの少し切なさを感じさせる声で鳴きます。夏の終わりはちょっぴり寂しいですが、同時に新しい季節のはじまりでもあります。

  • 8月12日から15日の間、徳島県徳島市で開催される阿波踊り。中心街で何十人もの人々が連(れん)と呼ばれる集団をつくり、全国各地から毎年約950連、約6万人が参加する大規模な夏の祭典です。「ヤットセー、マットセー」などの賑やかな囃し文句が飛び交い、踊り子が踊り狂います。

  • 阿波踊りのはじまりには諸説ありますが、「阿波よしこの節」の一節に「阿波の殿様蜂須賀公(はちすかこう)が今に残せし盆踊り」と歌われているように、蜂須賀家政がはじめたと伝えられています。
    天正15年(1587)の7月、今の徳島県である阿波の国に入国した蜂須賀公が、徳島城の城築祝いに城下の人々を招き、無礼講で躍らせたのが阿波踊りのはじまりとされています。
    他には「組踊り」「ぞめき踊り」などの民衆芸能の影響を受けながら阿波踊りの形ができていったという説も。

  • 「阿波よしこの節」のリズムが奏でられると、街全体が一気に白熱します。「ヤットセー、マットセー」「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」などの賑やかな囃し文句と、三味線をベースに鉦(かね)、篠笛(しのぶえ)の音色が鳴り響きます。

    阿波踊りでは、女性は優しく、男性は自由奔放で個性的に踊ります。
    踊り子の踊りを引き立てる道具には、編み笠や団扇、弓張り提灯などが。
    編み笠はいぐさやわらなどで編んだ笠で、深くかぶり顔が見えないようにする連や、反対に顔が見えるように浅くかぶる連もあります。
    団扇は踊りを華やかに見せるものや、帯に差したときの着物との調和を意識したものなど様々なデザインのものも。
    弓張り提灯は男踊りで使われる道具で、舞台などで使われる際は発光させて幻想的に踊ります。

    阿波踊りが開催される4日間、徳島の街は熱気に包まれ、その熱量と喧騒は、「リオのカーニバル」と並び称されるほど。日本の夏になくてはならない祭典の阿波踊り。ぜひ一度、訪れてみてください。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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