七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

夏の間に鳴り響いた雷が収まるころ。大きな雷雲の代わりに、空にはもこもこと鰯雲が現れます。「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、このころから残暑も落ち着き、秋らしい爽やかな日が訪れます。

  • 国民の祝日のひとつで、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日とされています。秋のお彼岸の中日にあたり、秋分の日の前後3日間は、お墓まいりなどが行われます。また、秋分は二十四節気のひとつでもあり、この日を境に夜が長くなり、次第に秋が深まっていきます。

  • 秋のお彼岸には、もち米をあんこで包んだおはぎをお供えします。あんこに限らず、きなこをまぶして作るものも。春にはぼたもちをお供えしますが、ぼたもちとおはぎは同じもののようです。
    昔は、秋に収穫された小豆をそのまま使用したつぶあんのものがおはぎ、年を越し固くなった小豆をこしあんにしたのがぼたもちという違いがあったそうです。(※諸説あります)それぞれ春の牡丹にちなんでぼたもち、秋の萩にちなんでお萩と呼ばれるようになりました。

  • 秋の空へまっすぐ伸びていく彼岸花。秋のお彼岸のころに開花します。曼珠沙華(まんじゅしゃげ)とも呼ばれますが、これは天に咲く赤い花という意味です。その特徴的な見た目と相まって、とても不思議な雰囲気の花です。
    彼岸花といえば、「赤い花」という印象を持つ方も多いと思いますが、白やピンク、黄色など、花の色は意外とバリエーションがあります。
     

    彼岸花はお彼岸の中日である秋分の日の前後に花を咲かせますが、空気が乾燥した日が続いた後に雨が降ると、一斉に花を咲かせます。このことを「雨後の彼岸花(うごのひがんばな)」と呼ぶのだとか。彼岸花を見に出かけるときは、天気模様を見てみるといいかもしれませんね。
     

    彼岸花は、花全体に毒を持っており、特に球根に多く含まれます。そのため、昔からお墓のまわりに植えられ、もぐらやねずみなどの動物から土葬された遺体を守っていました。
     

    毒がある、と聞くと少し怖いイメージを持ってしまう彼岸花ですが、各地にある彼岸花の名所には、毎年多くの方が訪れます。その中でも、埼玉県日高市にある巾着田(きんちゃくだ)は有名で曼珠沙華まつりも行われています。500万本の彼岸花が咲き誇り、幻想的な光景が広がります。
     

    巾着田 曼珠沙華まつり|日高市観光協会
    https://www.hidakashikankou.gr.jp/manjushage/

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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