七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

野山にぼんやりと春霞がたなびき、幻想的な風景が見られるころ。同じような現象で、秋に見られるものは「霧」と呼びます。きれいな風景ですが、視界が悪くなるので注意が必要です。

  • 冬から春になるこの時期は昼と夜の気温差が大きく、大気が湿りやすいため霞が発生します。これを「春霞」と呼びます。「霞」は昼の呼び方で、夜になると「朧(おぼろ)」と名前が変わります。風情のある名前と景色は、多くの歌に詠まれています。

  • 『余寒 よかん』
    立春になり寒が明けても、まだ残る寒さのこと。春の兆しはあるものの寒さが続きます。「残暑」と対になる言葉です。
     

    『雪解 ゆきどけ』
    冬の間に降り積もった雪が解け始めること。または雪が解けてできた水のこと。
    「雪解雫(ゆきげしずく)」「雪解風(ゆきげかぜ)」「雪解川(ゆきげかわ)」なども。

  • 『木の芽 このめ』
    春に生え始めるさまざまな木々の芽をあらわした言葉。生まれたての新芽は葉や茎が柔らかく、食用にされる品種もあります。
     

    『春曙 はるあけぼの』
    春の夜明け前のまだ暗い頃のこと。この様子を清少納言は美しいと捉え、『枕草子』で「春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは 少しあかりて 紫だちたる雲の細くたなびきたる。」と表現しました。

  • 『花吹雪 はなふぶき』
    桜の花びらが吹雪のように舞い散る様子。「桜吹雪」とも。花びらが散った後の様子も、「花屑」や「花の塵」と呼ばれ、愛されています。
     

    『山笑う やまわらう』
    春の山の草木が芽吹き始め、明るくなっていくこと。新芽や花が咲き、山全体が明るく変わっていく様子を「笑う」と表現しています。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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