七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

水仙の花が咲き始めるころ。金盞とは、黄色い冠を持つ水仙の別名です。黄色い部分を黄金の杯に、白い花弁を銀の台にたとえて金盞銀台(きんせんぎんだい)とも呼ばれます。上品で香り高く、人気のある水仙は正月の花としても用いられます。

  • その名前から、暖かな春の日を思い浮かべそうですが、小春日和はそろそろ雪が降り始めるころにふと訪れる春のように暖かい日のことをいいます。何日か暖かい日が続くと、春の花が勘違いをして咲き出すこともあり、そのことを「返り花」といいます。桜の花をいうことが多いですが、桃の花やつつじなどにも使うことができます。「帰り花」や「忘れ花」とも呼ばれます。

  • 小春日和は、冬の初めの11月頃に訪れる、春先を思わせる暖かな日のこと。「小春」は冬の季語であり、旧暦十月の異称です。本格的な冬が訪れる前の暖かな日々を表現した美しい言葉ですね。年を越し、晩冬のころに訪れる暖かな日は「四温」「四温日和」といいます。
     

    ちなみに、欧米では小春日和のことを「インディアン・サマー(夏)」と呼ぶそうです。これは1770年代から使われ始めた言葉で、インディアンがこの時期を利用して冬を越すための収穫物を貯蔵したことが起源といわれています。

  • ○小春空(こはるぞら)
    初冬に訪れる、春のような暖かな日(小春)のころの、爽やかに晴れた空を「小春空」といいます。
     

    ○小春凪(こはるなぎ)
    初冬の小春のころの、波ひとつない穏やかな海の様子を「小春凪」といいます。「凪」とは、風がやみ、波がなく海面が静まること。
     

    ○小春日(こはるび)
    「小春日」とは、小春のころの、穏やかな日のこと。また、その日差しも「小春日」と呼ばれます。
     

    ○小春(しょうしゅん)
    「小春」とは、旧暦十月の別名です。「小春の候」など、時候の挨拶でも使われます。

※インディアン・サマーの起源には諸説あります
※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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