七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

日に日に稲穂の先が重くなってくるころ。稲穂はこぼれるように実り、色づき始めます。刈り入れを間近に控えた大事な時期ですが、このころは台風の襲来が多く、各地で風鎮祭が行われます。

  • チンチロリン、リンリンリンと秋の夜を風情のあるものにしてくれる虫の声。「虫時雨(むししぐれ)」はたくさんの虫たちが鳴いている様子を、秋から冬にかけて降る小雨「時雨」にたとえた言葉です。時雨を使った季語には、他に「蝉時雨」があります。

  • 『秋の暮 あきのくれ』
    「秋の夕暮れ」「秋の夕(ゆうべ)」ともいい、その名の通り秋の夕刻を指す季語です。秋の夕暮れはどこか切なく、しみじみとした味わいがあります。
     
    この道や行く人なしに秋の暮 松尾芭蕉
     
    『秋晴 あきばれ』
    真っ青に晴れ、澄みわたった秋の空を指す季語です。台風が通過した翌日などによく見られます。「秋晴」は「秋日和(あきびより)」とも呼ばれます。
     
    『初鮭 はつざけ』
    秋になると、鮭は生まれた川へ戻ってきます。そのため、秋にはその習性を利用した鮭漁(さけりょう)が行われます。この時に捕獲された鮭を「初鮭」といいます。

  • 『月見酒 つきみざけ』
    昔は、酒を飲みながら月見を楽しむ風習があり、その風習や酒を指す「月見酒」という季語が生まれました。月見とは十五夜や十三夜の月を観賞することで、すすきや団子や芋などを供え、名月を楽しみます。
     

    『秋深し あきふかし』
    晩秋のなか、さらに深まりをみせる秋の気配を感じることを、「秋深し」といいます。過ぎ行く秋を思い、どこか寂しさを感じる気持ちを言い表す言葉です。
     
    秋深き隣は何をする人ぞ 松尾芭蕉
     
    『冬仕度 ふゆじたく』
    初雪が降る前に、冬に向けて準備することを「冬支度」といいます。暖房機器の点検や、食料、衣服の準備など、北国ではさまざまな準備に追われます。庭の木を雪の重さから守る「雪吊り」も冬支度になります。「冬」という言葉が入っていますが、秋の季語です。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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