雁が北から渡ってくるころ。冬を日本で過ごす渡り鳥のことを「冬鳥」といいます。その年に初めて訪れる雁を「初雁(はつかり)」、渡ってくる頃に吹く北風を「雁渡し(かりわたし)」といいます。
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旧暦9月13日の月は「十三夜」と呼ばれ、旧暦8月15日の「十五夜」に次いで美しい月とされ、古くからお月見の風習がありました。十五夜は中国から伝わった風習ですが、十三夜は日本独自の風習です。月の鑑賞とともに、栗や豆の収穫を祝うことから、「栗名月」「豆名月」とも呼ばれています。
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十五夜の約一カ月後にやってくる十三夜。後にやってくるため「後の月(のちのつき)」ともいわれます。さらに、どちらか片方だけしか見ないことを「片見月」や「片月見」といい、縁起が悪いとされていました。
とはいっても、天候の関係などで見えないこともありますよね。十五夜は台風の到来時期であり、あまりすっきりしない夜空の日が多いですが、十三夜の夜は晴れることが多いようで「十三夜に曇り無し」という言葉もあるそう。どうか今年の十三夜は天候に恵まれ、きれいなお月様が見られますように。
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お月見は、月の鑑賞や収穫祝いの他に「お月見どろぼう」という少し変わった風習があります。基本的に旧暦8月15日の十五夜に行われます。
この日に限って、子どもたちはお供え物の月見団子を盗んでいいとされています。子どもたちは月からの使者と考えられており、子どもたちにお団子を盗んでもらえると豊作になるといわれていました。
元々、十五夜の日は、他の人の畑から芋を盗んでもいいという考えがあり、「お月様が持って行かれた」と芋が盗まれた畑は豊作になるといわれていたそうです。この畑の芋が、お供え物の月見団子へと変化していったようです。
さらに、月見団子がお菓子に変わり、現在でもこの風習が残っている地域があります。子どもたちは「お月見どろぼうです!」と各家々をまわり、お菓子をもらいます。なんだかハロウィンのようで楽しいですね。
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※七十二候は年により変動します
illustration:みやしたゆみ