七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

これからくる冬に備えて、虫たちが戸をふさぐように、冬ごもりの準備をはじめるころ。虫たちは約半年間、土の中や木の根元、枯れ葉の中に身を隠して、暖かな春を待ちます。

  • 秋の七草は、ハギ、ススキ、クズ、フジバカマ、ナデシコ、キキョウ、オミナエシの7種類。すべての花が同じ時期に咲くのではなく、秋の深まりと共にそれぞれが花開きます。十五夜や十三夜に月見飾りとして飾られます。

  • 秋の七草の7つの花は、奈良時代の歌人、山上憶良(やまのうえのおくら)が二首の歌で詠んだことが由来とされています。春の七草は「七草粥」として食べますが、秋の七草は鑑賞用や薬草として親しまれています。

    ●ハギ(萩)
    紅紫色の小さな花。花が咲いた姿が小豆の粒のようにみえることから、お彼岸にお供えする「おはぎ」の由来となったとも。

    ●ススキ(薄)
    ふさふさとした穂が特徴的。馬など動物の尾に似ていることから、「尾花(オバナ)」とも呼ばれます。

    ●クズ(葛)
    紫色の花が稲穂のように咲きます。根からとれるデンプンがくず粉の原料になっています。

    ●フジバカマ(藤袴)
    枝先にうすい紫色の小さな花を咲かせます。自生の藤袴は減少し、絶滅危惧種になっています。

    ●ナデシコ(撫子)
    花びらの先が細いピンクや白の花を咲かせます。その可憐な様子が「大和撫子」の言葉の由来になりました。

    ●キキョウ(桔梗)
    五角形の星形をした青紫色の花。昔は「吉凶を占う花」として使われていました。家紋や着物の柄などでも使用されています。

    ●オミナエシ(女郎花)…黄色い小さな花を咲かせます。女郎花には、どんな女性も圧倒するほど綺麗という意味があります。

    秋は空気が澄んで、私たちも生き物たちも気持ちのいい季節。野に咲いている花は少なくなりましたが、秋の七草を探しにカメラを持ってお出かけするのもいいですね。

  • 春の七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロの7種類。
    1月7日の人日の節句に、無病息災を願い、「七草粥」として食べられています。この習慣は平安時代に中国から伝わり、日本でも広まりました。七草には薬効があり、年末年始のご馳走続きで疲れた胃腸を休めてくれます。

    最近では、七草をセットしたものや、七草を乾燥させふりかけのようにしたものなどが販売されています。ひと昔前より簡単に作れるようになっているので、作るのに抵抗がある方も、来年の人日の節句には七草粥に挑戦してみませんか?

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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