七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

靫草(うつぼぐさ)が枯れていく頃。稲穂のような小さな花を咲かせた靫草は、これから夏の花たちが咲いていくなかで、季節を逆らうように枯れていきます。
その珍しさから、季節をあらわす言葉となりました。

  • 日本では約50種類の蛍が生息しています。代表的なのが「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」。名前の由来は、飛んでいる姿が源平合戦に例えられたことから、大きい蛍が勝った源氏の「ゲンジボタル」、小さい蛍が負けた平家の「ヘイケボタル」となりました。

  • 夏の風物詩である蛍。暗闇の中にぽんっとあらわれる蛍の光は、私たちを幻想的な世界へと連れていってくれます。きれいな光で私達を楽しませてくれる蛍は、なぜ光っているのでしょうか?
     

    理由は2つあるようです。1つは仲間に自分の居場所を知らせるためのコミュニケーションとして。もう1つはオスとメスが出会うための合図として光を放ちます。
    暗闇の中を飛び回っているのはほとんどがオスで、飛び回りながら自分の相手を探します。メスの蛍は地上や草、木の葉っぱの上で小さな光を発しながらオスを待ちます。メスの小さな光を見つけたオスは、強い光でプロポーズし、2匹は一緒になります。このオスがメスの元に降りていく姿が、火が垂れるかのように見えることから「火垂る」の語源になったともいわれています。

  • 蛍は水のきれいな川に生息します。きれいな川といってもいくつか条件があり、幼虫が育つための食料であるカワニナが生息する川でなければいけません。流れが厳しい川では幼虫が流されてしまうので、穏やかで水位が安定している用水路などに現れることが多いようです。
     

    観賞時期は「ゲンジボタル」が5月〜7月頃、「ヘイケボタル」が6〜8月頃です。蛍の命は、成虫になってからわずか1週間。さらに活動的に飛び交う時間は夜の7〜9時頃と限られた時間の中で、精一杯にきれいな光を放ちます。
    観賞へ行くと、きれいな光に心が癒されますが、すてきな相手に出会うため一生懸命に光っていることを想像すると、「がんばれ〜」と思わず応援したくなりますね。
     

    また、蛍は光に敏感なため、仲間とは違う光を感じると光るのをやめてしまうようです。観賞時はカメラのフラッシュや携帯の光などに注意し、蛍を驚かさないように静かに楽しみましょう。

     

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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