七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

沢の水が凍ってしまうころ。
この時期は例年、最低気温を記録することが多く、一年で最も寒い時期といわれています。「三寒四温」という言葉のように寒い中にも暖かさを感じられる日もあります。

  • 冬のこの時期は、どうしても体が冷えてしまいますね。そんな時に生姜は体を温める食材として大活躍してくれます。冷えは体の血の巡りが悪くなって起こるもの。生姜を加熱するとショウガオールという成分が発生し、この成分が体の隅々まで血を巡らせ、体の中から温めてくれます。

  • 一年の中でいちばん寒いこの時期、毎日の食事で体を温める食材を意識してみるのもいいかもしれません。

    野菜では、カボチャ・ニンジン・タマネギ・ネギ・レンコン・ジャガイモなど。基本的に土の中で育ってきた野菜で、秋冬の寒い時期が旬の野菜(根菜)です。土の中で育つ野菜は、野菜自身に熱があるため、熱のある太陽から逃れようと土の中で成長をしています。これらの野菜は、ビタミンC、ビタミンEが含まれているため、血行を良くする働きがあり、冷え性に効果があるのです。果物ではりんご、金柑、もも等。栗やくるみも体を温めてくれる食材です。

    また色が黒や暖色系の食材も効果があるとされ、白砂糖より黒砂糖、白米より玄米などどちらかというと黒に近い食材を選ぶように心がけてみましょう。

  • 食事は体の中を温めてくれるのに対し、薬湯は体を外から温めてくれます。そもそも薬湯とは、薬品や温泉成分、薬品植物を入れたお湯のことで、昔は病気や傷の治療をするために使われていました。

    今も耳にする風習としては、冬至の柚子湯や端午の節句の菖蒲湯などが薬品植物を用いた薬湯になります。
    薬品植物は神経痛や腰痛、あせも、皮膚病など症状によって適した植物がありますが、冬の冷えには、ダイコン、ユズ、ダイダイ、セキショウなどが効果的といわれています。

    また、その季節の植物を取り入れた「季節湯」という薬湯もあります。

    1月:松湯(松葉)
    2月:大根湯(大根葉)
    3月:蓬湯(ヨモギ)
    4月:桜湯(サクラ)
    5月:菖蒲湯(ショウブ)
    6月:どくだみ湯(ドクダミ)
    7月:桃湯(モモ)
    8月:薄荷湯(ハッカ・ペパーミント)
    9月:菊湯(キク)
    10月:生姜湯(ショウガ)
    11月:蜜柑湯(ミカン)
    12月:柚子湯(ユズ)

    効能だけではなく、香りや色を楽しむのもリラックス効果がありそうですね。

    昔は銭湯や大衆浴場が主流だったため、その客引きのためにいろんな効能を宣伝したり、お湯に色をつけただけの銭湯もあったそうです。
    現在はさまざまな効能のある入浴剤が販売され、気軽に自宅で薬湯に浸かることができます。毎日のお風呂で体を温め、残りの寒い冬も元気に乗りきりましょう。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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