北国や山里では霜が降り始めるころ。だんだんと冬が近づいてきました。霜は、空気のなかにある水蒸気が氷点下に冷えたものに触れてできる氷の結晶のこと。昔は、雪と同じように空から降ってくると思われていました。そのため、霜は「降る」といいます。
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赤や黄に染まった美しい紅葉を楽しむ紅葉狩りは、秋の楽しみのひとつ。10月から12月上旬にかけて、紅葉の季節が訪れます。さまざまな木々が染まる様子は、昔から人々を魅了し、『万葉集』のなかにも紅葉狩りという言葉が出てきます。
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紅葉狩りの「狩り」という言葉には、どんな意味があるのでしょうか。
「狩り」とはもともと獣(大きな動物)を捕まえるという意味で使われていましたが、時代を経るにつれ、小さな動物を捕る、果物などを採る、紅葉や草花を眺めるという意味でも使われるようになりました。
紅葉を眺めるという意味でも使われるようになった背景には、平安時代、狩猟を嗜まない貴族が出てきたことが関係しているそうです。当時の貴族は「歩くこと」をはしたないことだと考えていました。ですが、紅葉を眺めに行くには山野や峡谷へ出かける必要がありました。そのため、紅葉を見にでかけることを狩りに見立てるようになったそうです。
また、眺めるだけでなく、紅葉した葉の枝を折り、実際に手にとって楽しんでいたのだとか。 -
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日本三大紅葉名所として知られる、京都・嵐山、栃木・日光、大分・耶馬渓。
毎年多くの観光客が訪れ、日本の秋を染める紅葉を楽しみます。
●京都・嵐山(あらしやま)
言わずと知れた、紅葉の名所である京都。そのなかでも、嵐山の渡月橋からのぞむ紅葉した山々はとても美しく、川のせせらぎは静かに流れる時間を感じさせてくれます。寺院から眺める紅葉も、日本の情緒をたっぷり感じさせてくれる古都・京都ならではの風景。
●栃木・日光(にっこう)
世界遺産「日光東照宮」で有名な栃木県の日光は、いろは坂や中禅寺湖周辺、竜頭ノ滝など、有名な紅葉スポットを数多く揃えています。特に中禅寺湖周辺では、カエデの種類が多く赤やオレンジ、黄色などさまざまな紅葉が美しいグラデーションを見せてくれます。
●大分・耶馬渓(やばけい)
九州の代表的な紅葉スポットである大分県の耶馬渓。8の岩峰から成る岩峰群をひと目で見渡せる「一目八景(ひとめはっけい)」から眺める、紅葉に染まる山々の風景はとても美しく迫力満点。11月上旬〜中旬にかけて紅葉シーズンが訪れ、たくさんの観光客で賑わいます。
※七十二候は年により変動します
illustration:みやしたゆみ