七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

空を塞ぐように厚い雲が広がり、本格的な冬がおとずれるころ。
冬の季節風の影響で、氷雨や雪をもたらす厚い雲ができます。塞ぐという言葉には、寒さから人々を守るという意味でも解釈できます。

  • 12月8日は一年の農事の仕事の終わりである「事納め」の日です。今年の収穫を終え、田を見守ってくださった神様に感謝をします。対になる行事として、翌年2月8日の「事始め(ことはじめ)」があり、この日から農事や祭事をはじめます。この両日は「事八日(ことようか)」と呼ばれています。

  • 農事の仕事や一年の仕事を納める日を「事納め」といい、翌年の「事始め」まで休む期間になります。反対に、元旦に新年の幸せをもたらす年神様は働きだします。そのため、年神様にとって12月8日は「事始め」となります。
    仕事を休む期間ではありますが、年神様を迎える準備があり、なかなか休んではいられませんね。
     

    事納めに関連したならわしでは、針を供養し針仕事を休む「針供養」や、能登半島では田の神様を家に迎える「あえのこと」などが行われます。「あえ」はもてなすの意味があり、コシヒカリの小豆ご飯、たら汁、大根と鱈の酢の物、お造り、甘酒など、能登で獲れた食材を用いて、田の神様にご馳走をふるまいます。

  • 縫い物の上達を願って、一年間使用した針を供養する「針供養」
    供養の方法は地域によってさまざまですが、一般的には折れた針をこんにゃくや豆腐などに刺し、神社やお寺に奉納します。
     

    こんにゃくや豆腐などの柔らかいものに刺す理由は、いつも固いものを刺している針を休めるため。豆腐のように色白で柔らかい心を持った人になれるようにとの願いも込められているそうです。地方によっては、2月8日に行われるところもあります。
     

    最近では針仕事をする機会も少なくなったかもしれませんが、針だけではなく、自分がお世話になっている仕事道具に感謝する日と捉えて、きれいに掃除してあげるのもいいかもしれませんね。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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