七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

夏の暑い風から、秋の涼しい風に変わりはじめる頃。
まだまだ暑さは続きますが、少しずつ秋の気配が感じられます。夕方に聞こえる虫たちの声も秋の虫たちの声に変わっていきます。

  • お盆とは、正しくは「盂蘭盆会 うらぼんえ」といいます。この盂蘭盆会を中心とする4日間にご先祖様を迎え、供養して送りだします。地域により違いはありますが、8月13日~16日の月遅れで行われることが多く、日本の企業や団体などもこの期間が休みになります。

  • まずは、ご先祖様の霊を迎えるための準備をします。家の中には、位牌やお供え物、ご先祖様の好物などを置いた「盆棚(精霊棚)」をつくります。用意が難しい場合は、仏壇でもかまいません。
    そして、玄関や門口では、ご先祖様の霊が迷わないように、素焼きの平皿にオガラを乗せて火を焚く「迎え火」を行い、家の中にお迎えします。オガラは麻の茎や松の割り木で、その場を祓い清めるという意味もあるそう。迎え火の他にも、玄関に提灯を下げて目印にしている地域もあります。

  • 盆棚の飾りの中には、キュウリとナスに割り箸を刺した飾りを見かけます。これは「精霊馬 しょうりょううま」という、ご先祖様の霊があの世とこの世を行き来する時の乗り物です。
    キュウリは早く家に着くようにと足の速い「馬」をあらわし、ナスはゆっくり帰ってもらえるようにと「牛」をあらわしています。飾り終わった後は、お焚き上げもしくは塩でお清めをしましょう。

  • お家で過ごされたご先祖様の霊をあの世へ送りだします。各家庭では迎え火と同じく、平皿にオガラを乗せ「送り火」をします。
    有名な京都の「五山送り火 ござんのおくりび」も送り火のひとつです。京都を囲む山々に点火され、「大・妙・法・大(左)」の文字と船と鳥居の形が夜空に浮かび上がります。

    東山如意ヶ嶽(大文字山)…「大」
    松ヶ崎西山(万灯籠山)…「妙」
    松ヶ崎東山(大黒天山)…「法」
    西賀茂船山(妙見山)…「船」形
    衣笠大北山(左大文字山)…左「大」
    嵯峨鳥居本曼荼羅山…「鳥居」形

  • 「送り火」には、山の送り火と海の送り火があります。「五山送り火」は山の送り火で、「灯籠流し」が海の送り火。灯籠流しは日本の各地で行われ、灯籠と一緒にお供え物などを川や海に流します。

    灯籠流しの中でも長崎の「精霊流し」は、規模が大きくとても賑やかな雰囲気です。造花や提灯などで飾られた「精霊船」に初盆を迎える故人の霊を乗せ、「流し場」まで送り出します。流し場までの道のりは、鐘の音やかけ声、さらに爆竹の大きな音が響きます。爆竹には魔除けの意味があり、精霊船が通る道を清める意味があるそうです。ご先祖様たちの霊が無事にあの世へ帰れますように。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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