七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

8月も終わりをむかえ、ようやく暑さが弱まりはじめるころ。
「粛」は弱まるという意味をあらわします。天気図には、秋雨前線が登場し、冷たい雨風とともに秋のはじまりを運んできます。

  • 「チン、チロリン」と鳴くマツムシ。マツムシの鳴き声は私たちに秋を感じさせてくれます。平安時代には、秋の虫を捕まえてきて鳴き声を楽しむ、「虫選(むしえらみ)」という遊びもあったそう。

  • 秋の代表的な虫である「マツムシ」と「スズムシ」。
    どちらもバッタ目コオロギ科の昆虫で、とてもよく似ています。昔は、「マツムシ」のことを「スズムシ」と「スズムシ」のことを「マツムシ」と、反対に呼ばれていたともいわれています。

    見分け方としては、1つ目に声があります。
    童謡「虫のこえ」でも歌われているように、鳴き声にはそれぞれ特徴があります。マツムシは「チンチロリン」や「チロチロチロ」、スズムシは「リーンリーン」。これらの鳴き声は、松林をわたる風のようにであったり、鈴が鳴るようだと例えられてきました。

    2つ目に体の特徴。
    マツムシは、枯草などに同化できる茶色っぽい黒や緑色をしています。大きさは19~33㎜程で、脚のふ節に吸盤があるた垂直面を登ることができます。
    スズムシは、触覚以外は真っ黒で、大きさは17~25㎜程です。飛び跳ねる力はありますが、垂直面を登ることはできません。

  • 秋の虫たちはどこにいるのでしょうか。
    マツムシは、乾いた日当たりのよい場所を好み、ススキの生えた河川敷などに生息します。こういった場所が少なくなっていることもあり、残念なことに都市部では見かけるのが難しくなっています。

    反対にスズムシは、夜行性のため、昼は暗い茂みのある場所を好みます。大きな石やコンクリートの裏にいることも。

    また、育てやすいこともあり、水槽やプラケースなどの中で飼うこともできます。餌はキュウリやナス以外でも食べることができ、カボチャやサツマイモなどでも大丈夫です。スズムシを育てて、すこし賑やかな秋の夜長を過ごすのもいいかもしれませんね。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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