七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

さざんかが咲き始めるころ。秋の終わりから冬にかけて咲くさざんかは、冬枯れの景色の中に色を添える貴重な存在です。深い緑の中に、きれいな赤やピンクのさざんかが咲きほこります。

  • 松や杉の葉のように濃い緑色。「常盤(ときわ)」という言葉は、冬になっても変わらず色あせることがない常緑樹の葉の緑色を表しています。変わらないという意味から、永遠や不老長寿を願う色として使われています。

  • 漆器などにみられる光沢のある黒色。伝統色の黒の中でも暗い色あいのため「純黒(じゅんこく)」とも呼ばれます。光のない暗闇を「漆黒の闇」などと表現するように、深みのある黒は、静かで暗い冬の夜を表しているようです。

  • 灰色がかった濃い青色。落ち着きのある青は、冬の薄暗い空を思わせるような色です。江戸時代中期の歌舞伎役者、5代目市川団十郎が好んだ色で、市川家の家紋が三つの舛(ます)をいれこんだ「三枡」の家紋であることから、「舛」という言葉がつかわれました。

  • あざやかな緑みのある黄色。冬になると日本にやってくる冬鳥のヒワ属の羽の色にちなんでつけられました。鳥の名前がつく色名としては古く、昔から愛されてきました。類似色として、「鶸茶(ひわちゃ)」「鶸萌黄(ひわもえぎ)」などがあります。

  • 藍染の中でも濃く染められた紺色。これ以上は染められないという意味から「留」の字がついたそうです。何度も染めを重ねるため、藍染の紺屋泣かせの色ともいわれました。半纏(はんてん)などの色に使われています。

  • 白みがかった淡い青色。岩絵の具の顔料であるアズライトという石を砕くと群青になり、さらに細かくすると白群ができます。障壁画や屏風絵などの日本画で重宝されてきた色です。

※七十二候は年により変動します

illustration:みやしたゆみ

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