七十二候がおとずれるたび、日本の細やかな
季節の移り変わりを旬のお話とともにお届けします。

熱気がまとわりつき、蒸し暑いころ。草木は太陽の光をたくさん浴び、色を濃くしていきます。つい冷房のきいた部屋に逃げ込んでしまいがちですが、気軽にできる打ち水などで暑さをしのぎ、風情ある夏を楽しみましょう。

  • 本格的な夏のはじまりを知らせるように、賑やかな声でセミが鳴き始めます。蝉時雨は、まるで時雨が降りつけるように、セミが一斉に鳴くこと。にいにいぜみ、みんみんぜみ、あぶらぜみ。いろいろな種類のセミが大合唱を始めます。

  • 季語には、日本文化の趣が感じられます。五七五の十七音で作られる俳句の中に入れられる季語は、春、夏、秋、冬、新年の5つの季節を感じさせてくれます。7月の季語には、爽やかな夏を感じられる季語がたくさん。「向日葵」や「雲の峰」、「夕立」や「浴衣」など。
    その中でも面白いのは「夏休み」。聞くだけで、少しワクワクさせてくれる明るい季語です。

  • 8月の季語には、秋の気配を感じる言葉がたくさん。
    「銀河」や「桃」、「秋立つ(あきたつ)」。秋立つは二十四節気の立秋のことで、この日から暦の上では秋になります。他にも、「茄子の馬」や「西瓜(すいか)」、「朝顔」「女郎花」など、言葉だけで背景にある風景を思い起こすことができます。8月はまだまだ暑い日が続きますが、立秋を迎える季節なので秋を連想させる季語が多いですね。

    「新涼(しんりょう)」…秋になり感じる涼しさ。
    新涼や仏にともし奉る 高浜虚子

    「秋海棠(しゅうかいどう)」…秋に咲く薄いピンク色の美しい花。
    雨に痩せて秋海棠のそぞろ也 正岡子規

    季語は時代にあわせて新しく取り入れられたり、海外に広がるにつれて、その土地ならではの季語が生まれたり。季語とされている言葉は、現在5000を超えるそうです。
    お気に入りの季語をいくつか見つけて、その時々に感じたことを俳句に詠んでみるとより日本の季節を深く楽しむことができるかもしれません。

※七十二候は年により変動します
参考文献:夏井いつきの365日季語手帖

illustration:みやしたゆみ

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