



新年の冒頭にあたり、週番号について以前ふれたコラム(第114回)をさらに延長し、国際標準化機構(ISO、アイエスオー、イソ、アイソ)の定義する日付について紹介したいと思います。国際標準化機構とはスイスのジュネーブに本部を置く非営利法人であり、工業製品、技術、食品、農業、医療などの分野でおよそ2万の規格をもつとされています。そのひとつに暦の日付があるのです。
ISOの日付には基本形式と拡張形式とがあり、前者の場合、たとえば2018年1月12日は2018W025となり、後者の場合はハイフンが入って、2018-W02-5となります。Wは週(week)をさします。つまり、2018年の1月12日ではなく、2018年の第2週の5番目の日となります。言い換えると、何月何日を週日付(week date)であらわすことに特徴があるのです。


ISOの週は月曜日はじまりです。では、どの月曜日が第1週になるかというと、1週間7日のうち4日以上の日のある週がそれに当たります。換言すると、木曜日のある週が第1週という訳です。2018年は月曜日からはじまっていますから、フルに7日もある第1週を迎えたことになります。ところが年によっては金曜日に1月1日がくる場合もあります(たとえば2010年)。そうすると、1月1日は前年のW53-5となってしまいます。逆に、12月31日が水曜日だったり、火曜日だったりすると、翌年の第1週として扱われます。

1年365日(閏年は366日)は52週と1日(閏年は2日)ですから、ISO年(通称ISO year)は52週(364日)か53週(371日)のどちらかとなります。この余分の1週(第53週)のことは非公式に閏週(leap year)とよばれています。2015年がそうでした。


グレゴリオ暦には閏日があり、旧暦には閏月がもうけられますが、ISO年には閏週があります。それは5年か6年のあいだに1回きて、しかも簡単な数式であらわされるような規則性をもっていません。これが一つの問題です。
もうひとつの問題はたとえば二至二分の日付が1週間もずれるという事態が起こります。グレゴリオ暦では春分は3月20日か21日で1日のずれですが、ISO年では2015-W12-6、あるいは2016-W11-7と言う具合に1週間ずれてしまいます。
さらに問題なのは、ISO年は基本的にグレゴリオ暦を基準としているため、ユリウス暦もそれに換算しなければならず、ましてや土曜日はじまりが一般的であるイスラーム社会ではスムースに受け入れられるとは思えません。
ISO基準の週日付ISO(R)2015は1971年にはじまりました。1988年にISO8601となり、行政やビジネスの世界で会計年度や給料計算にもちいられるようになりました。もっとも普及しているのはヨーロッパです。第何週の何曜日という言いかたが日常的に使用されています。日本人やアメリカ人はおおいにとまどうわけですが、中国人やインド人も同様に目を白黒しています。


とはいえ、標準化には利点もあります。まず、すべての週は月曜日に始まり日曜日に終わる7日で構成されています。そして、すべての週がひとつの年におさまります。1年は52週か53週というちがいがあるだけで、月日を気にする必要がありません。おもしろいことに、平年の場合ですが、第6週と第10週と第45週は05,06,07,08,09,10,11というならびになります。5日の月曜日、6日の火曜日、7日の水曜日、8日の木曜日、9日の金曜日、10日の土曜日、日曜日の11日というわけです。同様なことが第7週、第11週、第46週のセットでも、第8週、第9週、第47週のセットでもおこります。
最後に、週番号だけでなく、年月日と時刻の表記全体を示しておきたいと思います。
基本形式 2018W0250112T143523+0800
格調形式 2018-W02-5-01-12T14:35:23+08:00
Tは時間(time)を表し、2018年第2週第5日1月12日14時35分23秒+時差8時間となります。

日本カレンダー暦文化振興協会 理事長
中牧 弘允
国立民族学博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授。
吹田市立博物館館長。専攻は宗教人類学・経営人類学。