まだまだ寒い日が続きますが、少しずつ春の足音が近づいてきました。
そんな季節の変わり目に、鮮やかな色合いで楽しませてくれるのが梅の花です。赤、ピンク、白とバリエーション豊かな梅の花は、300種類以上もあるといわれています。
中国原産の花木で、弥生時代に日本に渡ってきてからは身近な花として人々の生活に根付いてきました。
梅の花を眺めて楽しむことを「梅見」といいます。
桜の華やかさとは対照的に、梅はもの静かに鑑賞する花として親しまれてきました。
花びらから放たれるほのかな香りを楽しみながら、切り花や盆栽、庭木として愛でられてきました。春の訪れを告げる象徴的な花で、2月の別名は「梅見月(うめみづき)」とも呼ばれています。
梅の花を見分ける一番の特徴は、その花びらです。
桜の花びらは先が割れてハート型になっているのに対して、梅の花は丸い形をしています。
また、咲き方にも特徴があり、桜はひと塊となって咲くのに対して、梅は枝から直接花が咲きます。
梅の花は、万葉集では100種を超える歌が詠まれていますが、大伴旅人が詠んだ有名な歌をご紹介します。
凍てつくような寒さの中で、いつもの景色が急に開けたような感動がじわりとやってくる。それが梅の花だとわかったときの旅人が見た情景や心の動きが、この歌を通して見えてくるようです。言葉の並びやリズムがきれいで、思わず何度も音読してしまいました。この歌からも、梅の花が春の訪れを告げる美しい花として愛でられてきたことが分かります。
この記事を書きながら、近所を散歩していたらもうすでにポツポツと梅の花が咲き始めていました。今年は咲きはじめが早いようで、立ち止まって梅の花に見入っている人を度々見かけるようになりました。
私も思わず1枚、パシャリ。
ぷくぷくと今にも咲きそうな蕾たちに先立って、静かに開く梅の花。
ごつごつと力強い枝から咲く可憐な姿に、小さいながらも力強い生命力を感じました。旅人がこの梅の花を見て、「雪」と表現したのも頷けます。
鼻を近づけてみるとかぐわしい香りが身体中に広がり、今まで通り過ぎていたであろう梅の花が急に身近な存在に感じました。
みなさんもぜひお近くで『梅見』をたのしんでみてくださいね。
高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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