“宇宙空間に高速ネットワークをつくろう”という目的の元、JAXA、NEC(日本電気株式会社)によって2020年に2種類の衛星用光通信装置が開発されました。
ひとつは静止衛星用、もうひとつは地球観測衛星用。このふたつの光通信装置でつくりあげられるのが、「光衛星間通信システム(LUCAS・ルーカス)」です。
2020年11月29日、このうち、静止衛星用の「光データ中継衛星(JDRS)」を乗せたロケットが打ち上げられました。

今までは、衛星から地上に観測結果などのデータを送る通信ができるのは、地上局の上を通過するときに限られていました。地球を一周するのに約90分ほどかかるため、その通信時間は約10分ほど。
容量の大きなデータ通信や、災害などで迅速に情報がほしい時などの大きな課題になっていました。
そこで、宇宙空間にある静止衛星と地球観測を行っている衛星を光通信でつなぎ、地球観測衛星→静止衛星→地上の順にデータを送る方法、「光衛星間通信システム(LUCAS・ルーカス)」が考案されました。

このシステムによって、2つの衛星間は従来の7倍以上も速いスピード、1.8Gbpsの速度で通信を行うことができ、さらに地球を一周するタイムラグなしで地上局に情報を送ることができるようになります。
これは画期的な挑戦で、ゆくゆくは、次の目標地である小惑星「1998 KY26」に向かう「はやぶさ2」や、かつて月で活躍した衛星「かぐや」などの惑星探査衛星からデータを受信し、地上にスムーズに情報を提供することができると期待されています。

「光衛星間通信システム(LUCAS・ルーカス)」の主要ミッション、地球観測衛星「だいち」の後継機であり、光通信装置を搭載された、先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」は残念ながら2023年軌道投入に失敗。期待される「だいち4号(ALOS-4)」と静止衛星との通信も、現時点ではまだ行われていません。
ですが、宇宙で活躍し始めた暁には、地震、豪雨などの災害から森林、火山噴火などの監視、地理情報の整備や更新での素早い情報共有など、多方面で活躍してくれるはずです。

宇宙に通信環境をつくるという新たな試みで、私たちの生活もより広く、宇宙規模になっていくことが予想されます。
ニュースに耳を傾けながら、こうしたネットワークで得られるかもしれない、
未知の小惑星の画像や動画など、宇宙の新しい姿を想像して楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
