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今日は小惑星探査機「はやぶさ」の後継機である「はやぶさ2」が打ち上げられた日です。

目的は地球近くの小惑星「リュウグウ」へ着陸し、その物質を採取すること。
2010年に、世界で初めて小惑星の物質を持ち帰った「はやぶさ」の功績と、戻ってくるまでの物語は多くの人々に感動を与えました。

そしてその実績から、人々の想いが再び小惑星探査に向かったことで、2014年12月3日に「はやぶさ2」の早期打ち上げが実現したのです。

初代はやぶさが採取した小惑星「イトカワ」の粒子の解析により、小惑星の種類による地質の違いが少しずつ明らかになってきました。
その結果、「はやぶさ2」は太陽系が生まれた約46億年前の地質が存在していると考えられる、小惑星「リュウグウ」を目的地にして出発しました。

はやぶさ2

2018年6月27日に「はやぶさ2」は小惑星「リュウグウ」へ到着。

初代はやぶさのトラブルから得られたことを活かし、「はやぶさ2」にはアンテナの変更をはじめ様々な改良が加えられました。

そのかいあってか、「リュウグウ」では想定外の巨大岩だらけの地面で、どこに着陸するかといった問題をはじめ、数々の難題が「はやぶさ2」に立ちはだかりましたが、プロジェクトメンバーによる素晴らしい機転と応用もあり、無事に乗り越えることができました。

そして、見事に合計二回のタッチダウン(探査機の着地)に成功したのです。
カメラの捉えた映像には、リュウグウの物質の採取に成功している様子が収められています。

hayabusa2


小惑星リュウグウへの第二回タッチダウン 4秒後の画像

「はやぶさ2」は第一回目のタッチダウンの後、人工的にクレーターをつくり、さらに地下の物質を掘り起こした上で、その近くの地点に第二回目のタッチダウンを成功させました。

じつは、着地において重要な役割を果たす光学センサーに、一回目の着地で砂ぼこりがついてしまったため、「安全を考えるなら二回目は行わずに地球に戻ってはどうか」など、不安視する声もあったそうです。
ですが、ぎりぎりまで時間を使った検討の上、地下の物質も採取するという偉業を成し遂げました。

「私たちは太陽系の歴史を手に入れることができました」

そう語ったプロジェクトマネージャーの津田雄一さんの言葉に込められた想いはどんなものだったでしょうか。
人類誕生の謎、太陽系の起源に迫る、大いなる挑戦を成功させた瞬間でした。

リュウグウ

その他にも、搭載された3台の探査用小型ローバのうち「MINERVAⅡ(ミネルバ2)」の「MINERVAⅡ-1A」「MINERVAⅡ-1B」は世界で初めて小惑星の上を動きながらの探査や撮影に成功しました。

そして赤外分光顕微鏡をはじめとした、広角カメラや熱放射計などの科学機器をそのまま小惑星に送り込むという大胆な発想を見事に成功させた小型着陸機「MASCOT(マスコット)」も大活躍。

残念ながら不具合があった「MINERVAⅡ-2」も、リュウグウの重力場を推定する実験などで窮地を成果に変えて活躍しました。

ミネルバⅡ、マスコット

約1年5カ月間の滞在で数多くの成果を上げた「はやぶさ2」は、2020年の12月6日に無事に地球にカプセルを届けてくれました。

未知の惑星へ探査に行き、サンプルを持ち帰る。
今までは実現不可能だったようなことが、可能になる時代がやってきました。

浦島太郎の物語のように、「リュウグウ」城から「はやぶさ2」が持ち帰った「竜宮の玉手箱」。

2022年3月には、リュウグウのサンプルから様々な有機化合物の他に“生命の設計図”ともいえる核酸塩基のひとつである「ウラシル」と、生命の代謝に必要な補酵素のひとつ「ビタミンB3(ナイアシン)」が発見されました。

そして2022年9月には、なんと世界で初めて、地球外で採取されたリュウグウの物質から「液体の状態の水」を発見!有機物や塩を含んだ炭酸水で、硫化鉄の結晶内部に閉じ込められていました。

さらに、リュウグウの母天体内部では、液体の水からサンゴ礁のような形の結晶が成長していたことがわかりました。リュウグウの内部に地球の海と似た環境が存在していた…「竜宮の玉手箱」にふさわしい大発見のひとつです。

こうしたサンプルの分析から、リュウグウが今の形に至るまでの過程を再現したシミュレーションが作成され、太陽系の形成における未解決の問題にも、いくつか解決の道筋が示されました。

そして、地球上における生命はどこから来たのか、どのように誕生したのかという科学における最大の謎。
46億年前の地球の誕生から、様々な現象による化学反応から生まれたという説、宇宙からやって来た隕石などに付着して生まれたという2つの説が有力でしたが、今回の発見により、宇宙の隕石から到来した説がより裏付けられることとなりました。

この先もまだまだ発見があり、私たちを驚かせてくれることと思います。

2024年現在、「はやぶさ2」は拡張ミッションとして、宇宙空間の観測を続けながら小惑星「1998 KY26」に向かっています。到着は2031年予定。
「1998 KY26」は直径30m前後というとても小さい小惑星で、自転周期約10分と高速で回転しているそうです。いったいどんな姿をしているのでしょうか。

到着までにも、2026年には小惑星「2001 CC21」へのフライバイや、2027年、2028年には2回の地球スイングバイも予定されています。

「はやぶさ2」がこれからどんな世界を見せてくれるのか、想像するだけでワクワクしますね。
ニュースに耳を澄ませながら、発表を一緒に待ちましょう。

vixen
天体望遠鏡や双眼鏡、顕微鏡などの光学機器メーカー。「星を見せる会社」になるというビジョンのもと、製品の製造・販売にとどまらず、「宙ガール」「スターパーティ」などのライフスタイルを提唱しています。