


9月の満月
芋名月とは、旧暦8月15日の「中秋の名月」の別名です。里芋の収穫祭が由来とされており、お月見に里芋を供えることからこの名で呼ばれています。日本のお月見の風習は、中国から9世紀ごろに日本に伝わり、平安時代に定着しました。

鎌倉時代の亀山上皇が詠んだ「くまなき月の渡るに似たり(まるで橋の上を月が渡っていくようだ)」が、その名の由来です。美しい橋上から、夜空と川面に映る2つの月を一度に観賞する「二観月(ふたみづき)」を楽しむことができます。

俳句の世界で「月」といえば秋の月を指します。秋の季語として、月は様々な俳句に詠み込まれています。秋の夜長に、月を見上げながら自分だけの俳句を作ってみるのも一興です。「暁や 夢のこなたに 淡き月」(夏目漱石)「何事の 見たてにも似ず 三かの月」(松尾芭蕉)

惑星探査機などが撮影した地球や火星、木星などを見てみると、周辺部で暗くなっていることがわかります。このような現象を周辺減光といい、球体に光が当たることで見られる現象です。しかし、月はこの周辺減光がまったく見られない不思議な天体で、しばしば「お盆」にたとえられました。

満月といえば、まん丸なお月様。ですが、本当に正円に見えるのは、ほんの一瞬のこと。満月の日は太陽・地球・月の順番で並びますが、この3つの天体は絶えず動いているので、満月が正円に見える瞬間はほんの一瞬ということになります。3つの天体の動きを想像しながら月を見上げてみると、いつもと違った目線で見ることができそうですね。
