


10月の満月
旧暦9月13日のお月見のこと。「十三夜」ともいいます。十五夜は中国から伝わりましたが、十三夜は日本独自の風習です。このころ収穫される栗を供えることから、「栗名月」と呼ばれます。十三夜の月はまん丸ではなく、少し欠けている様子が、昔から風流を愛する日本人に好まれてきました。

月の出、月の入りは、月の中心(真ん中)が地平線に接した時刻をいいます。これに対し、日の出、日の入りは太陽の上の端が地平線に接した時刻をさします。月の光は、満月でも太陽の光の50万分の1の光量しかないので、ほとんどの場合地平線に達する場合に消えてしまいます。

昔の人々は、月の満ち欠けにあわせて暮らしていました。太陰は月のこと。『太陰暦』とは月の暦です。新月から満月、満月から新月へ日々満ち欠けを繰り返す月は、時間の経過をあらわす共通の基準として好都合でした。1日のことを「ついたち」と読みますが、その語源は「月立ち(月が現れること)」が語源になっています。

冬の雪と秋の月、春の花。雪月花とは、日本の季節の代表的な自然美をさす言葉です。日本では散り際の美しさが尊いとされ、儚く溶けて消えてしまう雪や地平線に沈む月、花びらを散らす桜など、移ろうはかなさと美しさを感じさせる言葉です。

紫式部の『源氏物語』には、満月の光を良きものとして書かれている場面がみられ、紫式部がまん丸な満月を好んでいたことがうかがえます。それに対し、清少納言の『枕草子』では、新月直前の明け方に浮かぶ細い月を愛でていたことが感じられます。よく対比される二人ですが、その違いを月の形からもみることができます。
