第1回「俳句って面白い?」

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「俳句、はじめました」とは?
「俳句って昔っぽい」とか「難しそう」と思っていませんか? このページでは、できるだけ今の言葉でわかりやすく、俳句の面白さや楽しみ方をご紹介していきます。ねこ先生と見習いのうさぎとカエルとご一緒に、日本ならではの俳句の世界に、ちょっとだけ触れてみませんか?

俳句はにっぽんの歌。

その昔、まだ文字が存在しなかった時代、人々は国や一族の歴史を「歌」にのせて次の世代へ伝えていました。膨大な情報を、リズムと調べを使って記憶しやすくしたこの「歌」が、俳句や短歌のもとになる「和歌」のはじまりです。

5・7・5…と繰り返す音のリズムを使って世界を表現し、人の心を掴む。言ってみれば、現代の歌やラップのようなものだったのです。そこに、「季語」という季節を表す言葉を加えることで「俳句」が生まれました。

面白さの秘密は「季語」にあり。

たとえば、「紅葉(もみじ)」という言葉を目にしたとき、思い浮かぶのは、赤ちゃんの手のような形のまっかな葉っぱ、あるいは全体が赤く色づいたもみじの木の姿ではないでしょうか。

人によっては、紅葉狩りに訪れたことのある寺社の風景が浮かんできたり、さらにはその時に感じた肌寒さ、湿った土の匂い、枯葉を踏む感触まで思い出したり。鹿の姿を一緒に思い浮かべる人もいるかもしれません。

俳句の楽しさのメインといってもいいのが、この“季語を味わう”こと。

多くの人々が感じる共通のイメージや、自分だけが持っている季節のイメージが思い起こされることで、二重三重に俳句を楽しむことができるのです。

「季語」を効果的に使うことで、17音の文字数以上のイメージを込めて季節や自然の移ろいを表現したり、自然の中にある人の生活を、読んだ人の心に再現する「俳句」。

日本に古くから伝わってきた、5・7・5という規則的なリズムがあるからこそ、人の心に染みる歌になる、というわけですね。

心の動きを表現する「短歌」

短歌は奈良時代(710~794年)の『古事記』や、新元号「令和」の出典として話題になった『万葉集』でその存在が確認されている歴史あるものです。

最初に生まれたのは昔の歴史や出来事を歌い継いできた、独自の音とリズムをもつ「和歌」。

その和歌の中には、5・7・5・7を繰り返して、最後に7・7と結ぶ「長歌」とそれより短い「短歌」などの種類がありました。

「短歌」は5・7・5・7・7の31音で構成されていて、家族や恋人への感情など身の回りに向けた“心の動き”をテーマにしたものが中心になっています。百人一首がいい例ですね。

長歌は徐々に作られなくなり、平安時代以降は和歌といえば「短歌」を意味するようになりました。

人間味を楽しむ歌「川柳」

川柳は「5・7・5」と17音の構成は俳句と同じですが、季語を入れる必要がありません。

会話で使われる「話し言葉」で簡潔に表わされるものが多く、人間の営みや社会を風刺したものが中心的なテーマになっています。

サラリーマン川柳、シルバー川柳など、くすっと笑ってしまうような「滑稽味」のある人の姿を歌ったものが多く、自由に表現できる現代の詩として親しまれています。

さて、今回は「俳句の面白さ」について簡単に説明してみました。

小難しいもの、敷居の高いものではなくて、ぽかぽかした春の日差しに目を細めたり、燃えるような夕焼けを見てふとなつかしい歌を思い出すように、自然と共に私たちの生活の隣にあるもの、それが「俳句」なのです。

どうでしょう、ちょっと興味がわいてきませんか?

次回は、俳句には欠かすことのできない「季語(きご)」についてお届けします。お楽しみに。

【参考文献】
夏井いつき(2019)『夏井いつきの 俳句ことはじめ 俳句をはじめる前に聞きたい40のこと』 株式会社ナツメ社

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暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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