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梅雨とは、春から夏にかけて雨や曇りの日が多くなる季節現象のことです。
漢字で「梅の雨」と書く由来は、この時期に梅の実が熟すことからとされています。また、「梅雨」は「黴雨(ばいう)」ともかきますが、これは梅雨の時期はじめじめと湿気が高く、黴(カビ)が生えやすいため。「梅雨」をつゆと読むのは、雨の「露(つゆ)」に由来します。
また、栗の花が落ちる頃に梅雨入りする、ということから「栗花落」と書きます。読みは「ついり」で、姓としても使われています。 -
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梅雨という名前にあるように、6月は梅の実が熟す頃です。青い梅はまだ熟していないかたい梅ですが、梅雨に入ると次第に薄黄色に、そして赤みがかった黄色へと熟していきます。
かたい青梅は渋くてそのままでは食べられません。お酒やシロップに漬け込んで、梅酒や梅ジュースにするのがおすすめ。自然に落下するほど熟して柔らかくなった梅は梅干しやジャムなどに向いています。
このように、梅干しや梅酒を作ったりすることを「梅仕事」と呼びます。 -
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梅雨の時期になると、紫陽花をよく目にするようになります。
紫陽花は「七変化」とも呼ばれ、咲く場所や時期によって青やピンクなど花の色が異なる性質を持ちます。この色の違いは、咲く場所の土壌の酸性度によって変わるそう。弱酸性の土壌を持つ日本では青みがかった紫陽花が多くなり、逆に、ヨーロッパなどのアルカリ性の土壌で咲く紫陽花はピンク色のものが多くなります。
紫陽花の原種は日本に自生するガクアジサイです。小さな花の周りを装飾花が額のように彩っています。これが西洋で品種改良をされて日本に逆輸入され、現在よく見られる手まり型のものになりました。 -
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雨は、降り方や季節、地域によって少しずつ名前が変わります。
たとえば、雷を伴う激しい雨は一般的には雷雨と呼ばれます。この雷鳴を神様のお告げと捉え「神立(かんだち)」、雷の音ではなく稲妻の光を強調し「電雨(でんう)」などの呼び方があります。
大雨が降った時には、すべて洗い流す雨という意味で「雨濯(うたく)」、盆をひっくり返したような短時間の雨だと「盆雨(ぼんう)」などと表現します。
他にも日照り続きの後に降る恵みの雨を、高価な錦にたとえ「錦雨(きんう)」と呼んだり「喜雨(きう)」「宝雨(たがらーめ)」と呼んだり、同じような状況、降り方でも表現が様々です。 -
Q. 狐の嫁入りとは?
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雨の名前の中には、なぜこの名前に?と不思議になるものがあります。例えば、「狐の嫁入り」。少し変わった言い回しですが、晴れた空なのに雨が降るお天気雨を見つけると「狐の嫁入りだね」と言ったりします。この呼び方の由来には諸説あり、晴れた空から雨が降る不思議な現象を「狐の嫁入りを隠すため、化かされているのでは」と考えたことによる説や、生贄にされるために嫁入りをした狐の涙であるとする説などがあります。
実は海外にも、お天気雨を変わった呼び方をする国がたくさんみられます。イギリスでは猿の誕生日、フィンランドでは狐の入浴、フランスでは狼の結婚、など。多くの国で共通して動物で表現されているのが不思議で面白いですね。
また、この現象は雨を降らせた雲が移動したり消滅したりすることにより起きるもの。季節としては夏から秋にかけて起こりやすい現象だそうです。 -
Q. 梅雨のころにおいしい食べ物は?
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入梅の頃は特にイワシがおいしいといわれており、この時期に水揚げされるマイワシは入梅イワシと呼ばれています。産卵前のイワシは一年で最も脂がのっており、舌の上でとろける口当たりなのだそう。千葉県の銚子港はイワシの水揚げ量が全国1位ということもあり、例年この時期はイベントの開催などが盛んです。天ぷらや刺身、なめろうにするなどいろんなイワシを味わえます。
ほかにもイサキやハモ、お野菜だと新生姜やいんげん、あとはもちろん梅がおいしい季節です。 -