書籍「源氏物語の色辞典」
美しい伝統色の本をご紹介します
WEBサイト「暦生活」でライターとして記事を書いてくださっている染織家・染司よしおか6代目の吉岡更紗さん。
今回は、お父様である先代・故吉岡幸雄さんが書かれた本をご紹介します。
暦生活編集部から見たおすすめポイントや吉岡更紗さんからのコメントを交えながら、本屋さんでパラパラめくっているみたいに、お気軽にご覧ください。

『源氏物語の色辞典』

平安時代中期、紫式部によって書かれた『源氏物語(げんじものがたり)』。
主人公の光源氏を通して平安時代の貴族社会を描いた物語は五十四帖からなり、そこに登場する襲(かさね)の色目を完全再現し、辞典としてまとめられました。
読み進めていくと、色鮮やかな平安朝文化が目の前に蘇ってくるようです。古来、色は人々にとって生活を彩る大切なものだったのですね。


本来は想像するしかない、物語の中に登場する日本の色。
平安時代にタイムスリップするかのような、不思議な感覚でした。

この本を経て『源氏物語』を読むと、目の前にその時の情景が思い浮かび、より深く物語を味わえると思います。


掲載されている色見本がとにかく美しいですね。
私はこの「須磨(すま)」の美しくもどこか哀しい色目が好きになりました。
最初から順番に見てみるのもいいし、気になった襲(かさね)の色目から見てみるのもいいですね。


光源氏の愛した色、平安貴族の華麗な衣装が色鮮やかに蘇ります。
はるか昔の人々の物語が、より身近に感じられるようになりました。
日本の色が好きな人はもちろん、『源氏物語』が好きな人、昔読んだことのある人も楽しめる本になっています。
染織家・染司よしおか6代目の吉岡更紗(よしおかさらさ)さんからのコメント
平安時代に生まれた『源氏物語』。
恋愛小説でありながら、衣装や調度、和歌など王朝文化が花開いたこの時代の人々の色彩感が豊かに描かれています。
本書では54帖それぞれに登場するかさね色や色彩、衣装の記述に沿って、染司よしおかで染めた衣装がカラフルに登場します。
視覚でもお楽しみ頂きたく、『源氏物語』(原文、訳書、漫画)と共にページを開いていただくことをおすすめしたいと思います。
平安時代の方々の色彩感とはなんと豊かだったのか…と驚かされますし、季節感にあった色への興味が沸いてきます。
- 著者
- 吉岡幸雄
- 出版社
- 紫紅社
- ページ数
- 256ページ