菜の花なのはな

季語 2020.03.04

この記事を
シェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。ライターのカナエです。
暦の上では春とされている今の時節。少しずつ暖かい日も増えてきて、すぐそこまで春がやってきているような気がしますが、まだまだ寒くてついつい心も身体もぎゅっと丸く縮こまってしまいがちです。

そんな毎日の中にも、ちらほらと春の訪れを感じられる存在を見かけるようになりました。

いまの時期からよく見かけるのは、「菜の花」。

菜の花といえば、日本に住む私たちにとって、郊外や田畑のそばで咲く姿に馴染みがある花ですが、意外にもルーツは西アジアから北ヨーロッパの大麦畑に生えていた雑草なのだそう。ひだまりを思わせるような鮮やかな黄色が人の心を惹きつけるのか、日本では弥生時代ごろから春を象徴する花として親しまれてきました。

そんな菜の花の花言葉のひとつは「小さな幸せ」。

毎日の生活の中でちょっとした嬉しい出来事は色々とありますが、長くて寒い冬を過ごしてきたわたしたちにとって、春の訪れを感じることも「小さな幸せ」なのかもしれません。

さっそく「小さな幸せ」と出会う手始めに、お部屋に「菜の花」を飾って春の気分を先どりしませんか?

菜の花は葉っぱにボリュームのある花なので、葉をいくつか整理して切り取ることでスッキリした印象でいけられます。同じく今が季節の桃の花と合わせても可愛らしくて素敵に仕上がりそうです。

そして菜の花といえば、飾るだけでなく食べられることも魅力のひとつ。

実は「菜の花」というのは個別の花の名前ではなく、小松菜やキャベツなどの食用菜の「花の部分」をまるっとひとくくりに呼ぶ、ニックネームみたいなもの。

そもそも菜の花の学術的な名前であるBrassicaとは、古いラテン語で“キャベツ”を意味するのだそうです。
つまり、大根、小松菜、キャベツ、水菜、カブ、ブロッコリー、からし菜、チンゲン菜・・・アブラナ科の植物の花の部分を「菜の花」と呼びます。

菜の花を食べるなら、花が咲く前のつぼみの状態が食べごろ。花が咲くと苦味が増してしまいます。定番のおひたしだけでなく、パスタや天ぷらにしても美味しいんですよね。想像しただけでも楽しくなってきます。

子どものころは菜の花の苦味に「なんで大人はこんな苦いものを喜んで食べてるのかなあ・・・」なんて苦々しい顔をしていたものですが、今ではすっかり「今年も春が来たなあ」と、幸せを感じるようになった人も多いはず。苦みの中に春の喜びをかみしめながら、これからやってくる暖かな春を想って過ごす食卓もいいものです。

さて、今年の春はどんな「小さな幸せ」に出会えるでしょう?なんでもない一日の中にあなたにとっての「小さな幸せ」が訪れますように。

この記事をシェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

中山カナエ

ライター・編集者
岡山県生まれ、兵庫県在住。好きな季節は春。草花がたくさん芽吹き、緑も柔らかくフレッシュな色になる新緑の季節が好き。趣味は朝ドラ大河ドラマ鑑賞、いけばな、写真、個性の光る素敵な宿めぐり。

  • instagram
  • note

関連する記事

カテゴリ