卯の花腐しうのはなくたし

季語 2020.05.28

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
気温がぐんぐん上がり、ときには汗ばむ陽気の日もちらほら。
新緑のまぶしさ、初夏のすがすがしさはこの季節ならでは。窓を開けるとウキウキとした気分になりますよね。

さて、この季節の季語に「卯の花腐し」というものがあります。
卯の花とは、ウツギの花の別称で、ちょうどこの季節に白い花を咲かせます。
四月の別名が「卯月」というのは、ちょうど卯の花の咲く今頃が旧暦の4月ごろにあたるからなのです。

ちなみに、豆腐のしぼりかすである「おから」も「卯の花」と呼ばれますが、それは白っぽいおからが卯の花とよく似ているからだそうです。
おからの「から」が「空っぽ」を連想させるのを嫌って、このような美しい別名がついたといわれています。

話が脱線しました。タイトルの「卯の花腐し」に話を戻しましょう。
それにしても、「卯の花」が「腐る」とはなんだか不穏です。卯の花を腐らせてしまうものはいったい何なのでしょう。

答えは、長雨です。
毎日のように降り続く長雨で、せっかく咲いた卯の花がダメになってしまうのではないか、という気遣いから生まれた言葉が「卯の花腐し」なのです。

では、この時期に降る長雨といえば…?
そう、梅雨です。

ああ、もう梅雨の季節が近づいているなんて。
すがすがしい毎日もそろそろ終わり。この先はひんやりジメジメとした雨の降る毎日がやってきます。ときには晴れる日もありますが、そんな日は今までの気持ちのよさはどこへやら、ムシムシと暑くなる日が増えていきます。

季節は着々と移り替わっていくのです。
衣替えも本格的に進めないといけませんね。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

今井明子公式ホームページ

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