こんにちは。気象予報士の今井明子です。
毎日うだるような暑さですね。夏空で印象的なのが、モクモクと立ち上る入道雲。この季節の季語に「雲の峰」というものがありますが、それは入道雲が林立する様子を表しています。
真っ青な青空と、輝くように白い入道雲とのコントラストは圧巻です。

この入道雲は、正式名称を「雄大積雲」といい、夏の暑い日差しで地面が照らされ、暖められた地表付近の空気が上昇することでできます。
上昇した空気は、対流圏と成層圏の境目で頭打ちになります。すると、今度は雲が横方向に広がって、頭がカリフラワーのような形からエリンギのような形に変化します。
こうなると雄大積雲は積乱雲と呼ばれるようになり、大雨や雷などが発生するのです。いわゆる「夕立」ですね。

さて、ここまで説明すると、「なぜ上昇気流は成層圏に突入できないのか」とツッコミを入れたくなる人もいるのではないでしょうか。
大気圏は地面に近い順から「対流圏」「成層圏」「中間圏」「熱圏」の4層に分かれますが、それぞれの「圏」の境目(圏界面といいます)に、膜のようなものがあるわけではないので、視覚的に「圏界面はここだ」とわかるわけではありません。ではどうやって「ここは圏界面だ」とわかるのかというと、気温の変化の様子が変わるポイントがあるからです。

対流圏では、標高が上がるにつれて気温が下がります。確かに、山の上は肌寒いですよね。
しかし、成層圏では上空に行くにつれて気温が上がってきます。そして、中間圏になると再び上空に行くにつれて気温が下がり、熱圏では上空に行くにつれて気温が上がるのです。
上昇気流は、その上昇する空気の塊の気温が周囲よりも高いと上昇を続けますが、周囲よりも低くなると上昇できません。成層圏は上空に行くにつれて気温が上がるので、上昇気流の周りの空気は上昇気流の空気の塊よりも気温が高くなり、上昇気流が止まってしまうのです。

先ほど、「圏界面は肉眼ではわからない」といいましたが、実は対流圏と成層圏の圏界面は見た目でわかることがあります。まさに積乱雲の頭のてっぺんの平らなところが圏界面なのです。
ちなみに、発達した積乱雲では、上昇気流が周囲と同じ気温になってもすぐに止まれず、少しだけ上空に盛り上がった後で押し戻されます。すると、雲の形も、平らな頭の上にこぶができたような形になります。この現象を「オーバーシュート」といいます。なんだかどこかで聞いたことのある言葉ですね。
雲の峰を眺めてみると、「ソフトクリームみたいでおいしそう」と思う人は多いと思います。上昇気流と雲の形に思いをはせながら見れば、ますます雲を眺めるのが楽しくなることでしょう。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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