こんにちは。気象予報士の今井明子です。
新年度を迎え、いよいよ春本番です。
北国や雪国、標高の高い場所など、地方によってはまだ雪が残っているところもあることでしょう。
春になっても消えずに残っている雪や、春に降る雪のことを、名残雪といいます。
名残雪と聞くと、あのフォークソングが頭に流れる人も多いことでしょう。

名残雪と聞くと頭に思い浮かぶのが、雪形です。
これは、山肌の名残雪や、雪が融けて露出した岩肌の形を人や動物にたとえたもので、地名の由来にもなっています。
名残雪が形に見えるタイプはポジ型、岩肌が形に見えるタイプはネガ型と呼ばれています。

子どもは雲を見て「あの雲はゾウさんみたい」なんていうものですが、雪形もきっと、地元の人が「あの名残雪は〇〇みたいだね」といいながら言い伝えられていったのでしょう。
雪形でもっとも有名なのが、長野県の白馬岳です。
その名の由来になった雪形は、代掻き馬(田植え前の農作業で使われる馬)と呼ばれるものです。白馬岳と呼ばれているので、代掻き馬の雪形は白いポジ型かと思いきや、実は黒いネガ型です。

ほか、全国には駒ケ岳と呼ばれる山がたくさんありますが、その多くが「雪形が馬に見える」という理由で命名されたと言い伝えられています。みんな雪形を見ると馬を想像したくなるのでしょうか。それだけ馬が身近にあったということなのでしょう。

もちろん、馬以外の雪形もあります。たとえば常念岳では徳利を下げたお坊さんの雪形が見えますし、蝶ヶ岳は蝶の形をした雪形が名前の由来になっています。
ところで、雪形には、地元の人にとってもうひとつ大切な役割がありました。たとえば「代掻き馬が登場したら、田に水を張ろう」というように、雪形には農作業を行うタイミングを知らせる役割もあったのです。

もしかしたら雪形が消える時期が例年よりも早いのか遅いのかで、その先の天候、そしてその年の収穫量もある程度予想していたのかもしれません。天気予報のない時代、貴重な天候を知るための指標として使われていたんですね。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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