短夜みじかよ

季語 2022.08.16

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こんにちは、こんばんは。
ライターの栗田真希です。

短夜(みじかよ)とは、夏の短い夜のこと。俳句の季語としても使われています。

夏の夜が、わたしはとても好きです。半袖から出た無防備な肌を狙ってくる蚊も夕方には姿を消し、虫やカエルの声が響く夜。厳しすぎる日光から隠れるように過ごしていた昼とは違い、開放感があります。

特に、近所を散歩して、星空を眺めるのがお気に入りです。冬には、もう外に出ていたくなくて、すぐ家に引っ込んでしまいますから。夏の夜、ラフにTシャツを着て、軽やかな気持ちで歩きながら空を仰ぐ時間に癒やされています。

かの清少納言も、夏のよさは夜にあると『枕草子』の冒頭でつづっています。

「夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍おほく飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし」

現代っぽく訳すと、
「夏は夜がいいわ。月の明るい夜はもちろん最高。だけど、月のない闇夜に蛍がたくさん飛び交っているのもいい。蛍はほんの数匹、ほのかに光っているのも趣があるし。雨が降るのでさえ、趣があってすてき」
みたいな感じでしょうか。短夜を絶賛しています。その気持ち、現代に生きるわたしも完全同意です。蛍って、たった一匹でも、夜を泳ぐように飛んで光る姿に惹きつけられるんですよね。

ところで、夏はどのくらい夜が短いのでしょう。国立天文台のHPにあるデータから、時間の長さを調べてみました。

今年の東京の場合、いちばん夜が短い夏至で、日の出は4:25、日没は19:00。夜の長さは9時間25分。逆に冬至の夜の長さは14時間15分で、比べると5時間ほど短い計算になります。うん、短いです。

だからこそ、はかない時間をどんなふうに過ごすのか、昔から人びとは考えて暮らしてきたのかもしれません。

わたしの今年の短夜のお楽しみは、最高の一杯をつくること。

6月に長野県へ行って、あんず狩りをしてきました。そのときの収穫でつくった、あんずのシロップ漬けが大活躍! 硝子のコップに、氷をいくつか、それとあんずの実とシロップを少々、そこに炭酸水をしゅわしゅわ。特製ジュースの完成です。あんずの甘酸っぱさが、暑い日中に頑張った身体にぴったり。夜にゆったりおいしい一杯を味わう時間は至福です。

みなさんは、短夜、どんなふうにお過ごしですか?

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栗田真希

ライター
横浜出身。現在は東京、丸ノ内線の終着駅である方南町でのほほんと暮らす。桜をはじめとした花々や山菜が芽吹く春が好き。カメラを持ってお出かけするのが趣味。OL、コピーライターを経て現在はおもにライターとして活動中。2015年準朝日広告賞受賞、フォトマスター検定準一級の資格を持つ。

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