こんにちは、エッセイストの藤田華子です。
淡々と過ぎる日々は幸せなものですが、祝祭、行事や季節の変わり目、節気を知っていると、一年はぐんと楽しく、彩られます。そんな「知っていると楽しい暦」にまつわるショートエッセイを書いてゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、街中が、そわそわと浮足立って見えるバレンタインデー。
この日がカップルの日・愛の日といわれているのには、実は古い歴史が関係しています。
ルーツは、3世紀のローマ。当時のローマでは、若者の結婚は禁じられていました。なぜなら恋愛は、戦いに出向く足かせや、心残りになるから。なんとも悲しい理由です。
それではいけないと立ち上がったのが、ウァレンティヌスという名のキリスト教司祭。彼は極秘裏に、若いカップルの結婚式を執り行う活動を始めました。しかしそれが皇帝の耳に入り、忠告を聞かず活動を続けたウァレンティヌスは処刑されてしまいます。まさにその日が、2月14日。ウァレンティヌスさんの功績があり、いまでは愛を伝え合う日として定着しているのです。

さて話を現代に戻します。
みなさん、チョコレート選びはスムーズにできるタイプですか?
私はいざ好きな人に贈るとなるたびに、陥ってしまうトラップがあるのです。
それは、チョコレート売り場のゆらゆら歩き。
そもそも恋する女性って、真っ直ぐには歩かない習性を持っていると私は思います。
デートの待ち合わせまで、駅のホームにある鏡や、ショーウインドウに映る自分をいちいちチェックしてしまうもの。
前髪がぺたんこになっていないかな?
リップははみ出ていないかな?
そんな風にウキウキと緊張でいっぱいになりながら、待ち合わせ場所にたどり着くまでに設置してある鏡に、給水所のように立ち寄る傾向がある。
気持ちは一直線なのに、歩みはあっちこっち。若いころはそんな自分を、なんだか動物みたいだなあと思っておかしくなっていました。

これと同じ光景を、チョコレート売り場でも見かけます。
「これに決めた!」と思っても、やっぱりあっちがいいんじゃないかしら?こっちのほうが好みに合うかな?って悩みが尽きなくて。
そうして気づいたら、たったひとりに渡すはずなのに、手元には5つものチョコレートが!
ラッピング用品も同じです。
あのひとは青いリボンが好きかな、レザーっぽいシックな箱がいいかなと思ってあれこれ買ってみる。
でもね、男性は「ありがとう!」って受け取って、リボンをスルスル解き、あっという間にお口にポーン。モグモグモグ…「美味しい!」ってにっこりする方がほとんどです。
ラッピングのリボンを気に留め、褒めてくれる方は圧倒的に少ない。
だから夢中で食べくれた姿を見られる嬉しさと、もっとゆっくり味わってほしかったなあっていう寂しさを、毎年味わうことになるんです。私にとっては、そこまでがバレンタインデー。そんな時間すら、蜜のような楽しさをはらんでいると思います。

みなさんは、バレンタインにどんな思い出がありますか?
振り絞った勇気、渡すとき震えた手、受け取ってもらえた瞬間の安堵、笑顔、感謝。
どうぞ素敵なバレンタインを、お過ごしください。

藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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