こんにちは。日本の暦をひっそり楽しんでいる、エッセイストの藤田です。
神社に行くたび、人が祈る姿に目を奪われます。
背筋を伸ばし、目をつむり、手を合わせる。幼い子どもの手を引くお母さんも、手を引かれている子どもも、等しく“ひとりの人間”だということがまざまざとわかる瞬間。それぞれの人生を歩む勇敢さと、自分のために何かを願う直向きさ、誰かの幸せを想うやさしさを放つ姿が、美しく映ります。
さて2月23日は、平成から令和へと時代が変わり、初めての天皇誕生日。日本の神社のトップ・オブ・トップである伊勢神宮では、「天長祭」というお祭りが開かれます。天皇陛下のお誕生日をお祝いして、ご長寿、そして私たち国民の平安をお祈りするのです。

伊勢神宮は正式名称を「神宮」といい、なんと約600人もの職員によって守られています。それもそのはず、広大な敷地には内宮(ないくう)、外宮(げくう)といった“正宮”をはじめ、ぜんぶで125もの宮社が存在するのです。改めて規模の大きさに驚きますね。
内宮(ないくう)にまつられている天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、皇室のご先祖さまであり、私たちに命の源を与えてくださった太陽にもたとえられる存在。はるか遠い2000年前から伊勢市に鎮座しています。
いっぽう外宮(げくう)は、衣食住や、広く産業の守護神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)がまつられている場所。このふたつは、お伊勢参りでは外せません。
車で15分ほど離れている(かえすがえす、とにかく広大です)正宮を、外宮からお参りするのが正しい順番です。

「天皇陛下のご先祖様にあたる神様がまつられている!」「125も宮社がある!」「600人もの職員さんに守られている!」そう聞くだけでも特別感がひしと伝わる伊勢神宮ですが、このほかにも、私たちの身近にある神社とは異なる部分がたくさんあります。
わかりやすいのは、内宮と外宮には狛犬がいないこと。そもそも狛犬は、外界の邪なものを神社に侵入させない門番のような存在。伊勢神宮は神気が満ちあふれた聖地で邪なものは入れないため、門番は必要ないのです。
また、おみくじもありません。神聖な場所なので「参拝するだけで大吉」なのだそう。なんて強力なのでしょう。

そして、正宮では個人的なお願いごとはせず、神様に常日頃の感謝の気持ちを伝えるのみにとどめるということも忘れてはいけません。自分の名前、住所を告げ自己紹介をしたあと、神様への感謝の言葉を述べるのだそうです。
それは「テストでいい点数をとりたい」とか「恋人がほしい」という局所的、かつ個人的な祈りよりも、ずっと意味があると私は思います。自分が何かに護られていると知り、その存在に感謝することは、私たちにとって強さになりうるから。さまざまな場面で人生を良い方向に導いてくれるのではないでしょうか。
ぜひ、この春はお伊勢参りに行ってみてはいかがでしょう。
お参りのあと、伊勢名物が並ぶ「おかげ横丁」で舌鼓を打つのもお楽しみに。

藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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