重陽ちょうよう

暦とならわし 2020.09.09

この記事を
シェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。ライターの松下恭子です。

9月に入り、だんだんと秋が近づいてきました。
葉っぱは赤く色づきはじめ、トンボも飛ぶようになり…
そんな季節の変わり目に五節句の一つ、「重陽」があるのをご存知でしょうか?

五節句とは、江戸時代に定められた5つの式日で、1月7日は七草がゆを食べる「人日」、3月3日は「上巳(桃の節句)」、5月5日は「端午」、7月7日は「七夕」がよく知られていますが、9月9日は「重陽」、別名「菊の節句」として定められているのです。

そもそも重陽とは「陽が重なる」という意味で、古来中国より伝わりました。
中国では奇数を縁起が良い「陽の数」とし、その中でも一番大きい数「9」が重なる9月9日を大変めでたい日としました。
一方で、陽の気が強すぎて不吉なことが起こりやすい日ともされたことから、邪気を払いつつ、無病息災を願う節句の風習が行われるようになりました。

こうした風習が日本に伝わり、平安時代の初めには宮中行事としてすぐれた薬効をもつ「菊」を用いた宴が開催されるように。

天皇や宮中の人々は、菊を眺めたり、菊酒(菊の花を浮かべた酒)を飲んだり、詩を詠んだり(菊合わせ)して楽しみました。菊酒は、菊の花には不老長寿の力があるとされ、長寿を願うために飲まれたようです。

やがてこの行事は民衆にも広まり、江戸時代には五節句の一つになりました。
重陽の節句は作物の収穫時期とも重なるため、栗ご飯を食べてお祝いするようになったことから、「栗の節句」と呼ばれることもあります。

さらに、「くんち(九日)に茄子を食べると中風にならない」という言い伝えから秋茄子を食べる地域もあります。「中風」とは発熱や頭痛などの総称で、重陽の節句に茄子料理を菊と一緒に食べ、不老長寿や無病息災を祈りました。

こうしてみると五節句は、1年を通して自然の恵みに感謝しながら旬のものを取り入れ、健康を願う人々の思いが詰まった伝統的な行事ということが分かります。

近所のスーパーにも秋の食材が豊富に並びはじめる頃。
こんなときだからこそ、節句の日に食べる行事食を意識しながら、大切な仲間や家族と自宅で食卓を囲んでみてはいかがでしょうか。
旬を味わいながらゆっくり過ごす時間もまた、思い出深いものになるかもしれませんね。

この記事をシェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

松下恭子

ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。

  • note

関連する記事

カテゴリ