縁起物「招き猫」

暦とならわし 2021.02.25

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

誰かに「猫とはどんな動物ですか?」と聞かれたら、私は真っ先に自由で気まぐれなところを思い浮かべ、それなのに不思議とそんなところがなんとも愛おしく思えてしまうんだよなぁ、と首をかしげたくなる気がします。

改めて、猫はどことなくミステリアスな生き物だと感じるのですが、そういった印象はひょっとすると古くから、多くの日本人の中にもあったのかもしれません。
猫は日本に伝わる読み物や文化の中にも、霊的かつ神秘的な存在として意識されていることが多いのも特徴です。

たとえば、年老いた猫は不思議な力を宿す妖怪「猫又」になるとか、雄の三毛猫が天気を予知することができるとか、そういった伝承も数多く残されています。
昔から人々は、気まぐれな猫に恐れを感じたりありがたがったり、その二面性を感じてきたのでしょう。

さて、そんな猫が象徴になっている縁起物が「招き猫」です。
皆さんもきっと、どこかのお店で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
店先や店内に置くことで、お客や福を招いてくれると信じられ、商売繁盛や開運招福のシンボルとしても有名な存在です。

右手か左手のどちらかを耳のあたりまであげて、もう片方の手に小判を抱えているポーズが一般的ですが、これは中国の俗信で「猫が耳の後ろまで手を伸ばして顔を洗うと、店にお客が来る」という説が由来となっているそう。

日本でも、江戸時代を中心に、招き猫にまつわるいくつかの逸話が伝えられています。
豪雨に降られて困った武士が、猫に手招きされて見つけたお寺で雨宿りができ、その武士の菩提寺となったことをきっかけに、そのお寺が繁栄したというお話。
また、ある魚屋が病にかかり働けなくなって困っていると、可愛がっていた猫が小判をくわえて現れ助けてくれたというお話。

さまざまなエピソードに触れるたび、猫は犬と並んで、私たちの暮らしに大変身近な動物だったこともうかがえます。神社やお寺の中でも、猫を神様としてお祀りしていたり、神仏のお使いとして大切にされている場所が多くありますね。

皆様もその姿を見かけたときには、幸せを呼ぶ力を信じて、そっとお祈りしてみてはいかがでしょうか。ひょっとすると、素敵なことが起きるかもしれませんよ!

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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紺野 うみ|オフィシャルサイト

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