多くの家には、古くから家に伝わるロゴマーク、『家紋』があります。
名字にちなんだものから、歴史や信仰などデザインの由来は様々。

家紋が用いられるようになったのは今から900年ほど前の平安時代末期。公家が自分の持ち物だと分かるように、身の回りの調度品や衣服、牛車に美しい文様をつけたのがはじまりでした。
その後、戦国時代になると家紋は武士の間でも広まるようになりました。
戦うことを生業とする武士にとって家紋は、「敵・味方を見分ける目印」として使われるようになり、戦場で掲げる旗には大きく家紋が描かれました。遠くからでも同じ一族であることが分かるように、特徴のあるシンプルなデザインの家紋が生まれ、今の形の原型となったと言われています。

江戸時代になると家紋は「家を表すしるし」として使われるようになりました。
この時代から身分に関係なく家紋が入った袴や着物が武家の正装となったり、一般庶民にも自由に使えるようになったりしたことから広く普及しました。
こうやって歴史をたどっていくと、時代とともに意味や使われ方が少しずつ変化してきたことが分かります。
また、家紋は極めてシンプルな図形であることも大きな特徴です。
円や直線などの要素でできており、余計なものは削ぎ落とされています。江戸時代に多く生み出され、約3,000種類もあると言われています。小さな円の中で、色と線だけで生み出される世界。それぞれの家紋には、家に伝わる美意識が詰まっていると思うと一つ一つに尊さを感じますね。
さて、せっかくなので私も代々家に伝わる家紋を調べてみたところ、「丸に釘抜き紋」でした。

この家紋は座金で、中央の穴にテコを通して釘を抜くことから来ているそうです。単純な形で、遠くからでも判別しやすかったことから広く武将に好まれた家紋でした。また、「九城を抜く」とも言われ、九つの城を陥落させる戦勝を表す家紋だったとも言われています。
私はこの家紋から、「芯の図太さ」を感じました。釘はテコの原理ですんなり抜けてしまうけれど、普段は動じないほどしっかり打たれておさまっている。つまり、直前までは手の内を見せないで、大事なときに釘を抜いて手の内を見せる。これは私の勝手な解釈ですが、この家紋から生きる知恵を学んだようで、お守りのように心に留めておこうと思いました。
最近では核家族化が進んで「家」を意識する機会は少なくなったかもしれませんが、家紋から自分のルーツを知り、学びを深めてみるのもまた面白いかもしれません。


松下恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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