こんにちは。気象予報士の今井明子です。
今日、6月1日はあまり知られていないかもしれませんが、気象記念日です。
1875年のこの日、今の気象庁の前身となる東京気象台で、地震と気象の観測を始めました。これを記念し、1942年に当時の中央気象台が6月1日を気象記念日と制定したのです。
気象観測を始めた当初、東京気象台は東京都港区の、今のホテルオークラ付近にありました。そこから何度か移転をし、現在は東京都港区虎ノ門に気象庁はあります。

現在の場所に気象庁が移転したのは2020年のことです。私が気象予報士試験に合格し、気象庁にも通うようになったときは大手町に気象庁があったので、「中央省庁が移転するなんて珍しいな…」と思ったものですが、今の気象庁に併設されている気象科学館の展示を見ると、結構移転していることがわかります。ときには皇居の中にあった時代もありました。そこから巡り巡って、今の気象庁は、もともと東京気象台のあった場所と近いところに戻ってきたといえます。

さて、気象記念日には何が行われるのでしょうか。気象庁では、毎年この日に「気象業務はいま」という気象庁の業務の全体像が分かる本の最新版を刊行しています。また、気象庁の講堂では、気象記念日式典を行い、前の年に気象業務で功績のあった人を表彰します。
さらに、東京都杉並区高円寺にある、気象神社では、気象祭と呼ばれる例大祭が行われます。気象神社はもともと、1944年に大日本帝国陸軍の陸軍気象部の構内に造営されたのですが、戦後に高円寺氷川神社の境内に遷座されることになりました。この神社では晴天祈願を始め、気象にまつわる祈祷を行っています。
なぜ、陸軍の中に気象神社があったのでしょうか。それは、戦時中は天気予報は戦略を講じるために欠かせないものだったからです。予報が当たるかどうかは戦果とも密接に結びつきますので、予報した人は祈るような気持ちだったに違いありません。

日本初の天気予報は1884年の6月1日から始まりました。そこから新聞に天気予報が掲載され、20世紀にはいるとラジオでも放送されるようになりました。しかし、1941年には天気予報が一般市民には提供されなくなります。先ほども説明しましたが、第二次世界大戦中に天気予報は軍事機密となったからです。天気予報が行われなくなったことで、日本列島に上陸した台風では多くの犠牲者が出ました。戦争はこのような形でも一般市民の命を脅かしていたんですね。

戦後再び天気予報が提供されるようになりました。当たり前のように提供されるこの予報が、私たちの日々の暮らしの豊かさや命の安全を守る大切な役割をしている。それを心に留めておきたいと思っています。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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