こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
幼い頃、夏の季節にはどうやら、大人たちが「いつもお世話になっている人へ、日頃のお礼に」と、「お中元」という贈り物を贈りあっているらしい……ということを知りました。
「親戚の○○さんから、モモが届いたよ」とか「今年も〇〇さんが、ジュースの詰め合わせを送ってくださったよ」などという家族の声を聞くと、どんな素敵なものが入っているのかとワクワクしながら、中身を見に行ったものです。

お中元という文化の起源は、もとを辿ると中国の道教における節句(7月15日)であり、神様にお供え物をしてお祝いをする日だったようです。しかし、日本ではその時期がちょうど仏教のお盆(盂蘭盆会=うらぼんえ)と重なっていたため、ご先祖様にお供え物をする意味合いが混ざり合っていきました。それがいつしか、親戚やお世話になった人など、身内や仲間内での贈り物へと転じていったのだと言われています。
会社同士のお付き合いや、お得意様へのご挨拶など、企業間でもお中元のやり取りがあることも多いです。
贈り物を受け取ると、やはり特別にうれしいものですよね。日頃、自分では買わないものや、なかなか口にできないものなどとの出会いにも繋がっていて、思わぬ発見があるかもしれません。

反対に自分が贈る側になったときも、あの方には何が喜んでいただけるだろうか、この品物はきっとお好きなはず、などとあれこれ悩むのが楽しかったりもします。
発送の時期は、およそ7月の初めから15日頃までが目安。それを過ぎたら「暑中見舞い」となり、立秋を越えた後は「残暑見舞い」として送るのがならわしです。その年の上半期に特にお世話になった方へ、感謝の気持ちを込めた「夏のご挨拶」の意味が込められているのですね。

品物も食品から生活用品などと幅広く、百貨店では特設会場が設けられ、近年ではさらに便利になって、コンビニやインターネット上で手配を行う人も増えています。
思えば夏という季節には、お中元以外にも暑中(残暑)見舞いの手紙を出すなど、何かと「誰かを想う」慣習が多いような気がします。私も幼い頃には、夏休みなどでなかなか会えない友人や先生に宛てて、暑中見舞いのハガキを書いていたものでした。

もしかするとこれらの文化も、今の時代には人によってアナログで非効率だと感じられてしまうこともあるのかもしれません。それでも、自分にとって大切な人のために贈り物をあれこれと選んだり、相手が元気に過ごしているか想像しながら手紙を書いたりすることは、デジタルのやり取りが当たり前になった今では薄れつつある、日本文化の情緒や季節の風情を感じてなりません。

時代とともに少しずつ形が変わってしまったとしても、人が人を想う気持ちや、相手のために何かをしたいと行動することは、私たちの心の中から失われずに残っていってほしいものですね。

紺野うみ
巫女ライター・心の相談屋さん
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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