十二支じゅうにし

暦とならわし 2022.12.28

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

日本の暦には、新しい年がやってくるたびに順番に巡ってくる、その年を象徴する十二種類の動物「十二支(じゅうにし)」がいます。
子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)。これで、ぴったり十二匹。

令和4年は寅年、そして、来たる令和5年は卯年――うさぎです。

年賀状に十二支のイラストや文字を入れたり、初詣で干支の動物をかたどった土鈴や御守りを授かったり。年の初めには特に、何かと見かけて意識することの多い日本ならではの文化ですよね。

「来年は何年だっけ?」と聞かれると、「ねー、うし、とら、うー、たつ、みー……」と唱えながら、順番を思い出している方も多いのではないでしょうか。

十二支はもともと、古代中国で暦や時間を表すのに用いられていた文化が日本に伝わり、それが独自の形で浸透し定着したもの。

中国では、地球から見たときに12年かけて天を一周(公転)する「木星」の位置で年を数えていたのですが、その際に使われた1年ごとの呼び方が「子」から「亥」までの数字を表す漢字でした。

実は、この漢字に動物の意味が加わったのは、後からだったのですね。

日本にこれが伝わった頃には、12ヶ月の月の呼び方としても使われるようになり、さらには日にちや時刻、方位などにも当てはめられて、暦の中で馴染んでいきました。
たとえば、時刻に関しては午前0時を中心とした前後2時間を子の刻として始まり、そこから順に十二支を当てはめていきます。
午前と午後に「午(うま)」の字がつくのも、午の刻の前後という意味で生まれた言葉。
そう考えると、ずいぶん身近なところにも、十二支の文化が浸透しているのを実感できますよね。

それでは、十二支それぞれの動物が司る月や、縁起の込められた意味について、ご紹介していきましょう。

【子/ね】
ねずみ。旧暦の11月を指す。
あちらこちらで、新しい生命が芽生え始める時期。繁殖力の強いねずみは、「子宝」や「子孫繁栄」を象徴する動物。

【丑/うし】
うし。旧暦の12月を指す。
昔から畑を耕したり荷物を運んだりするのに活躍した牛は、ゆっくりと着実に進むことから、「誠実さ」と「粘り強い心」を象徴する動物。

【寅/とら】
とら。旧暦の1月を指す。
お正月の月で、「万物の始まり」を意味するとともに、その「勇猛果敢さ」や「決断力」を象徴する動物。

【卯/う】
うさぎ。旧暦の2月を指す。
穏やかな性格のうさぎにちなんだ「安全」や、跳ねることから「飛躍」を象徴する動物。

【辰/たつ】
たつ。旧暦の3月を指す。
伝説の生き物である龍のことを指し、「権力」もしくは「自然の力」を象徴する動物。

【巳/み】
へび。旧暦の4月を指す。
草木が生い茂る季節であり、脱皮を繰り返しながら成長することから、「生命力」の強さや「再生」を象徴する動物。

【午/うま】
うま。旧暦の5月を指す。
古来から人間のよきパートナーだった馬は、「健康」に「社交性」や「人気者」を象徴する動物。

【未/ひつじ】
ひつじ。旧暦の6月を指す。
群れを成す羊にちなんで、「家族(家内安全)」や「平和な暮らし」を象徴する動物。

【申/さる】
さる。旧暦の7月を指す。
その知能の高さから、山の神の使いであると言われている。「賢者」そして「好奇心」を象徴する動物。

【酉/とり】
とり。旧暦の8月を指す。
「酉の市」でもおなじみの通り、「取り込む」という言葉の演技にあやかって「商売繁盛」を象徴する動物。

【戌/いぬ】
いぬ。旧暦の9月を指す。
人の暮らしに身近な存在であったことから、「忠実さ」や「社会性」を象徴する動物。

【亥/い】
いのしし。旧暦の10月を指す。
万病に効くとされた猪肉にあやかって「無病息災」や、猪突猛進の性格から「一途さ」を象徴する動物。

こうしてひとつずつ見ていくと、それぞれの動物には、その性格や特徴にちなんだ願いや祈りが込められていることが分かります。
年の初めには、誰しも「今年はどんな1年になるだろう」などと想いを巡らせることがあるものですが、先人たちが遺してくれた文化の中にも、そんなことを考えるきっかけが隠されているのですね。

ちなみに、日本における十二支の由来は、『十二支のはじまり』という物語でも伝えられています。
あらすじは、神様が、年ごとに大将をまかせる12匹の動物とその順番を決めるために、元日の朝に動物たちを御殿に呼び出す……という内容。
十二支の動物たちが繰り広げるおもしろおかしい物語ですので、このお話も一度は読んでおくといいかもしれません。

さて、皆さんは、来年の1年にどんな願いや祈りを込めますか?
卯年ですから、自分や身近な人の「安全」や、それぞれにとっての「飛躍」を意識してみるのも素敵ですね。
素晴らしい1年になりますように、心よりお祈り申し上げます。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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紺野 うみ|オフィシャルサイト

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