こんにちは、ライターの高根恭子です。
三が日が終わり、七草粥を食べたら、お正月はもうおしまい!という方も多いのではないでしょうか。かくいう私も、1月5日頃からバタバタと仕事や家事に追われ、すっかり日常のペースに戻りました。毎年のことですが、お正月で怠けてしまったからだを動かすのは本当に苦労します..。
ただ、一般的にお正月の終わりは「松の内があけたら」と言われています。
松の内とは、お正月にやってくる年神様を迎える松飾りを飾っておく期間、つまりはお正月の初めから終わりまでのことを言います。松の内の期間は地域によって異なりますが、多くは1月7日まで、一部では1月15日頃までを指すと言われています。
そんな松の内の終わりに合わせて、1月11日に行われるイベントのひとつに「鏡開き」があります。神様にお供えしていた鏡餅を木づちで叩いて割り、お雑煮などにして食べる儀式のことをいい、縁起を担いで1月11日に行われるようになりました。
(ただし、松の内があけるタイミングによって鏡開きの時期は少しずつ異なるようです)
もともと鏡開きは、武士の風習でした。お正月に男性は鎧(よろい)や兜(かぶと)に、女性は鏡にお餅をお供えし、お雑煮として食べたことがこの行事のはじまりでした。しかし武士は、カチカチになったお餅を「切る」ことは縁起が悪いと嫌い、包丁は使わずに木づちで叩いて割りました。また、おめでたいときに「割る」というのも縁起が悪いので、「運をひらく=良いことが起こる」という意味から「鏡開き」と呼ぶようになったと言われています。
さらに、鏡開きは結婚式などのお祝い事で樽酒の蓋を割る儀式のことも言います。ここでもお正月と同じく、「ひらく」ことを通して神様の恩恵を授かり、幸せへの祈りが込められています。
私はこの鏡開きの意味を知るまでは、「運」とは、棚からぼた餅のように落ちてくるものだと思っていました。実際にはそんなに都合のいい話はないとは思うのですが、ひたすら待っていれば、ヒョイっと掴めるものなのかなぁ..と。
しかし本当に大切なことは、少し面倒であっても「自分からアクションを起こすこと」なのかもしれません。貴重なお米でつくられたお餅に感謝しながらお供えをして、松の内があけたら木槌を使って自らの手で、「ひらく」。
お正月にせっせと神社へいくことも、そうかもしれません。お参りしたり、お守りを買ったりおみくじを引いたりして、縁起を担ごうとする。
待っていても訪れない。すべては「ひらく」から始まるということを、この鏡開きは教えてくれているのかもしれませんね。
さて!鏡開きをしたあとのおたのしみは、やっぱりお雑煮です。
お餅を色々な野菜と一緒に焼いたり煮込んだりしながら、年神様のお力をいただく大切な締めの儀式。お雑煮に飽きてしまったら、揚げてかき餅風にしてみたり、あんこがたっぷり入ったぜんざいにくぐらせてスイーツ風に食べてもいいですよね。アレンジを考えるのもまた、おもしろいものです。
今年も鏡開きから、みなさんの運がひらかれますように。
心からの願いを込めながら、お餅を存分に味わいましょう。
高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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