書き初め

暦とならわし 2024.01.04

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

令和六年の年も明けて、皆様はどんなお正月を過ごされたでしょうか?
日本のお正月ならではのものと言えば、思いつくだけでもたくさんありますが、小学生の頃には学校の宿題で「書き初め」があったのを思い出します。
いつもよりも長い紙を使うので失敗しないように……と緊張しながらも、自宅の床で「書き初め」をしたものでした。

書き初めといえば読んで字のごとく、その年の「書」を書きはじめるに当たり、抱負や祈願、好きな言葉など、新しい一年を象徴するようなものにしたい希望のある言葉を書くものです。
起源は平安時代の宮中で、元日の朝に若水(初めて汲んだ水)で墨を磨(す)り、その年の恵方(縁起のよい方角)に向かって祝賀や詩歌を書く行事に由来しているようです。

書道というのは、昨今私たちが普通に文字を書くよりも、何倍も手間と時間がかかりますよね。
準備をするときは、習字道具を出してきて広げ、床には新聞紙を敷いて、水を汲み硯で墨を磨って、しっかりと色が出たのを確認したら、何度か筆の練習をするなどして、はじめて本番を書くことができるわけです。
終わったあとの片付けも、失敗した半紙で残った墨を吸い取り、筆もきれいに洗って干して、作品は乾かしてから新聞紙などで挟んでシワを伸ばし、やっと道具を片付けることができるわけです。

この一連が、子ども心にはちょっと面倒くささもあって、書き初めの宿題は後回しになりがちだったような気がします。
いざ文字を書いているときは、ドキドキしてとっても楽しいんですけどね。

私も、幼い頃に近所でお習字を習っていたのですが、大人になってからの方が、より書道の魅力に気がついたように思います。
一から道具を出して、丁寧に墨を磨って、一文字ずつ心を込めて文字を書くというのは、心の中がしんと静かになるような気がするのです。
きっと、大人になってからは特に、心の中が空っぽになるような時間を持つことが、どんどん難しくなっていくからかもしれません。

そういえば小学校の教室の壁には、よく書道の作品も貼り出されていたものですが、思えば絵や工作ではない同じ「文字」の中に、あれほど一人ひとりの個性が現れるものも他にないような気がします。
大胆に紙いっぱい広がる太い文字。繊細さを描いたような細い文字。生真面目さが現れている角ばった文字――。
不思議と、その子そのものをイメージさせるような作品が出来上がっているように、子ども心にも感じたことを覚えています。
大きく、ゆっくりと、想いを込めて書く字には、きっと魂が宿るかのように自分の内面が映し出されるのかもしれませんね。

こうして「書き初め」のお話を書きながら、私も久しぶりに「書」を書きたくなってきました。
書道もしかり、日本に受け継がれている茶道・華道・剣道・柔道など――「道」のつく文化は、それを通じて「人生の道」について疑似体験をしながら、人が自らの生き様を考え学びとるものなのだと聞いたことがあります。

私も今年はどこかで、じっくりと丁寧に、一文字ずつに魂を込めて書く「書道」の時間を持ちたいなと思います。
皆様も、年の初めに心静かに文字と向き合う、「書き初め」をしてみてはいかがでしょうか。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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紺野 うみ|オフィシャルサイト

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