精霊の日しょうりょうのひ

暦とならわし 2024.03.18

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おはようございます、こんにちは。編集者の藤田華子です。

3月18日の今日は「精霊(しょうりょう)の日」。聞き慣れないかもしれませんが、精霊とは、死者の霊魂を意味する仏教用語です。なかでも3月18日は『万葉集』を代表する歌人・柿本人麻呂、平安中期の女流歌人・和泉式部、同じく平安の女流歌人で絶世の美女として知られる小野小町の3人の命日とされ、彼らを偲ぶ日として定められました。

『万葉集』は、7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれた、現存する日本最古の歌集です。 驚くのは、そのボリューム。全20巻からなり、なんと約4500首の歌が収められているのです。編纂者といわれる大伴家持は、天皇や農民など身分にとらわれず優れた歌を収録しました。インターネットや新聞などがないこの時代に、北は東北から南は九州まで、日本各地で読み親しまれたそうです。『万葉集』に多いのは、恋愛の歌、故人を悼む歌、日常の歌などです。

「精霊の日」にあたり、それぞれ私が好きな歌をご紹介します。

東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ  柿本人麻呂
現代語訳:東の空には、朝日が差してくるのが見える。そして振り向くと、月が西の空に沈んでいこうとしている。

物思へば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づるたまかとぞ見る  和泉式部
現代語訳:物思いにふけっていると、沢のまわりを飛ぶ蛍の光も、自分の身からさまよい出た魂なのではと思ってしまう。

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに  小野小町
現代語訳:春の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった。春の長雨が降り続く間に。私の容姿はむなしく衰えてしまった、恋や世間のことなど物思いにふけっているうちに。

こうして読むと、私たちが美しさに心が奪われる瞬間は、いつの時代も普遍的なものなのだと気づきます。

散歩に出かけ、季節の花を愛でながら自然の美しさや豊かさを感じることで、古の歌人たちを想い、彼らが愛した景色や風景を想像してみるーー「精霊の日」は、彼らの精神や功績を偲びながら、心豊かな生活を送ることの意味を再確認する、そんな日でもあるのかもしれません。

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藤田華子

ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。

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