彼岸明け

暦とならわし 2024.03.23

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春らしい、うららかな陽気が続きますね。
ウグイスの声に耳をすませながら、虫や花を愛でることがたのしい季節がやってきました。

さて、3月は行事が目白押し。
そんななか日本独自の風習「お彼岸」もまた大切な行事の一つです。

お彼岸は、毎年春と秋の2回にわたって行われる仏教行事。
春は3月の春分の日、秋は9月の秋分の日を中日とし、前後3日間(合計7日間)がお彼岸にあたります。

そもそも「彼岸」の言葉の語源は、サンスクリット語の「paramita(パーラミタ)」。
これを漢字にしたのが、「波羅蜜多(はらみた)」で、漢訳は「到彼岸(とうひがん)」。

到彼岸とは、彼岸(生死の海を渡って到達する悟りの世界)へ到ること、またそのための修行を意味します。いっぽうで私たちが生きる迷いや煩悩に満ちた世界を「此岸」といいます。

これに加えて春分の日や秋分の日は、太陽が真西に沈むことから太陽信仰と結びつき、さらに中国から伝わった浄土信仰も合わさり、日本独自のお彼岸に発展したといわれています。古代の中国では、お彼岸に太陽が沈む真西の方角に極楽浄土があると信じられていました。従って昼と夜の長さが等しく、太陽が真東から真西へと一直線に沈む春分の日と秋分の日は「この世(彼岸)とあの世(此岸)がもっとも近づく期間」とされ、お墓参りやお供えを通してご先祖さまを供養するようになりました。

そして、今日はお彼岸期間の最終日。つまり「彼岸明け」ですね。

みなさんは、お墓参りなどはされましたか?
これを読んでいる方のなかにはおそらく仕事で忙しかったり、遠方でなかなか行けなかったりする方も多いのではないでしょうか。
実は私も実家が遠くにあるので頻繁に行けず、お盆にまとめて供養するというかたちになっています。そんな方に私が心がけていることをお教えします。最終日でも大丈夫、まだ間に合います。

それは、ご先祖さまが眠っている方角に手を合わせること。
「元気にやっています」「いつもありがとうございます」など、心のなかで言葉を添えて静かに思いを馳せます。それだけで、お墓参りに行けない罪悪感がスーッと薄れるような気がする...のは私だけでしょうか。

ちなみに私は、手を合わせるのはお彼岸の期間だけではありません。ときおり夜、眠る前に布団のなかで手を合わせることがあります。
” 自分はひとりでは生きていなくて、誰かの力によって生かされている。”
年齢を重ねたせいでしょうか。不思議とそう感じることが多くなってきたので、自分のルーツであるご先祖さまに定期的に「ありがとう」の気持ちを伝えます。仏教についてはあまり明るくありませんが、そういう気持ちを持つだけでお守りのようにそばにいてくれるような気がするのです。

そうそう、お彼岸といえば「ぼたもち」も欠かせません。この時期になると必ず和菓子屋さんで買うか、自分で作ってたのしんでいます。
なぜお彼岸にぼたもちなのかというと、あずきは邪気を払う縁起物であることと、春は牡丹の花が咲くことからお供えするようになったのだとか。食いしん坊としてはうれしいならわしですね。

暑さ寒さも彼岸まで。
これから本格的にあたたかくなり、桜が咲く季節がやってきます。
ご先祖さまに感謝の気持ちを伝えながら、いい季節を存分にたのしみましょう。

〈参考文献〉

新村 出『広辞苑 第三版』 岩波書店(1983年)

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高根恭子

うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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