愛でたい、郷土玩具

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大安の日に、愛らしい郷土玩具をひとつずつご紹介していきます

古くから日本各地で作られてきた郷土玩具。縁起物としても知られ、こけしや赤べこ、だるまなどの見慣れたものから、なかなかお目にかかることのない珍しいものまでじつにさまざまな種類があります。このページでは、大安のよき日に郷土玩具をひとつずつご紹介していきます。愛らしい郷土玩具に込められた、人々の願いや祈りを感じていただけると幸いです。

《2024年2月の大安の日》
3日(土)、9日(金)、14日(水)、20日(火)、26日(月)

流し雛【鳥取県】/厄除け

無病息災を祈り、少女たちが川へ流す雛人形

赤い着物と金の袴姿、素朴な形と表情をした、和紙でできた雛人形。鳥取県鳥取市の用瀬町で今も行われている、伝統的な厄除け祈願に使います。船に見立てた桟俵(さんだわら=米俵の蓋部分)に男女一対の夫婦雛を乗せ、花や菱餅などを添えて旧暦の三月三日に川に流しながら、少女たちが無病息災を祈ります。一般的な雛人形の原型とも言われる流し雛は、平安時代の頃から「紙の人形に災いを移して川に流す」という一種の厄祓い行事として、大切に受け継がれています。

奉公さん【香川県】/病気除け

優しくも切ない伝説のある、子どもの守り神

おかっぱ頭で赤い着物の、童女の姿をした高松張子の人形。やさしく微笑む、控えめながらも慈愛に満ちた表情が印象的です。江戸時代初期に殿様のお姫様が重い病にかかった際、側仕えをしていたおマキという少女が、自らお姫様の病を身に引き受け、離れ小島で短い一生を終えたという話が伝えられています。おマキは「奉公さん」と呼ばれ、その姿は人形となりました。病気の子どもに抱かせてから海に流すと病が治ると言われ、魔除けの色である赤い着物を着た奉公さんは、子どもの守り神として愛され続けています。

獅子頭【石川県】/魔除け・招福・立身出世

家や家族の守護神として、祝い事に欠かせない縁起物

白い毛並みに、黄金色の一本角。キリリと刀をくわえた姿が特徴の獅子頭は、石川県の加賀地方に伝わる木製の置き物です。睨みを利かせる眼差しも凛々しく、獅子は災厄を食い止めるとされることから、魔除や厄除を目的に玄関などに飾られます。家や家族の守護神として、人生の節目となる祝い事にも欠かせない、縁起の良い存在です。特に子どもが生まれると、獅子頭が「出世頭」に通じることから立身出世を祈って贈られ、飾られることも多いです。

湯沢の犬っこ【秋田県】/泥棒除け・厄除け

厄除けを願いつくられる、愛らしい縁起菓子

素朴な顔の白い犬が、カラフルな襟巻をつけて並ぶ、愛らしい縁起菓子。秋田県の湯沢には、約400年もの歴史を持つ『犬っこまつり』という行事があります。雪で作られたお堂の中に、米粉で作ったしんこ細工の小さな犬っこを祀り、甘酒やお餅をお供えして平和を願います。昔この地で暴れていた盗賊を湯沢のお殿様が退治し、以来泥棒除けや家内安全の祈りを込めて、小さな犬や鶴亀の人形を作らせて祈願を行うようになったことが始まり。傷むことなく長く飾れる、粘土製の土産物もあります。

ふく凧【山口県】/招福万来

大空を舞い福をもたらす、フグの凧

山口県下関のフグをモチーフにした凧で、凧揚げが盛んな安岡町で生まれました。ぷくっと膨らませた丸い体に、まん丸な目と大きく開いた口の、ユニークな表情。昭和39年に地元の凧愛好家がこのふく凧を作ったところ、全国の凧愛好者から注文が殺到し、一躍有名な郷土玩具になりました。大空に揚げて飛ばすと人々に福をもたらし、部屋に飾っても福を招いてくれると言われ愛されています。大きな口から、たくさん幸せを吸い込んでくれそうですね。

犬張子【東京都】/成長祈願・安産祈願・厄除け

平安時代に起源を持つ、安産祈願のお守り

ころんと丸い立ち姿をした、張子の犬。白地に黒い額と鼻筋、色とりどりの前掛けなどをまとった、福々しい姿です。犬は多産で出産も比較的軽いとされていることから、安産祈願や子育てのお守り、子どもの厄除けとして江戸を中心に永く愛されてきました。起源は平安時代までさかのぼり、身の穢れや災いを退けるお祓いの役割を持つ狛犬から来ているとも言われています。神社での安産祈願やお宮詣りとも結びつき、子どもの健やかな成長を祈る縁起物です。

尾崎の人形笛【佐賀県】/子どものかんの虫封じ

子どもをあやす、ぬくもりのある土笛

佐賀県神埼町尾崎に伝わる焼き物の土笛人形で、吹くと素朴な音色を聞かせてくれます。鳩など鳥の形をしたものが一般的ですが、十二支の動物や人の形をしたものもあります。土のなめらかな肌触りとぬくもり、ゆるい雰囲気の表情が特徴的。吹く時に口にくわえる部分に色をつけていないのは、土のものに口をつけると、子どもがぐずったり泣いたりする「疳の虫」を封じる効果があると言われているから。子どもの健やかな成長を祈る願いが込められています。

黄鮒【栃木県】/厄除け・病気除け

無病息災の祈りが込められた黄色い鮒(ふな)

黄色い体に、赤い顔。まん丸の大きな目がくりんと可愛い、鮒の張子人形。江戸時代から、栃木県宇都宮市に伝わる縁起物です。天然痘が大流行したその昔、村人の一人が鯉のように大きく黄色い色をした不思議な鮒を釣り上げ、それを病気の人に食べさせたところ、たちまち病気が治ったという伝説から生まれました。それからというもの、黄鮒はこの地域で、無病息災を祈って神棚にお供えしたり、軒先に吊るしたりして飾られています。

赤べこ【福島県】/病気除け・魔除け

子どもを守ってくれる、子育ての縁起物

そっと頭をつつくと、ぴょこぴょこと首を振って応えてくれる、赤く塗られた首振り牛。「ベコ」は方言で牛のことを言い、もとは地域に伝わる立派な赤牛の伝説から生まれた、張子の人形でした。病が流行した際に、これを贈られた病児がたちまち快癒したことから、子どもを病気や災厄から守ってくれる、子育ての縁起物として愛されてきました。その面白おかしくも可愛らしい仕草には、いつの時代の子どもたちも魅了されてきたことでしょう。

だるま抱き猫【東京都】/諸願成就・厄除

養蚕農家の心強い組み合わせ

招き猫がダルマを抱っこしている、愛くるしい張子の飾り物。江戸時代末期の頃、蚕を飼って繭(生糸・絹)を生産する養蚕農家の商売繁盛祈願に、多摩地域で生まれました。蚕の害となるネズミの天敵である猫に、豊蚕のおまじないとなるダルマを組み合わせたもの。白い毛並みの招き猫と赤いダルマが一緒にいると、紅白のおめでたい雰囲気に、見ているだけでも笑顔になれそうです。縁起の良いふたつの個性が合わさって、無限大の力を発揮してくれそうですね。

人々の祈りや願いが込められた郷土玩具。お気に入りの郷土玩具が見つかったら、お部屋にひとつ置いてみてもいいかもしれませんね。


イラスト:福岡麻利子さん

イラストレーター
京都市在住、二児の母。 京都芸術大学 空間演出デザイン学科卒
インテリア雑貨店勤務のグラフィックデザイナーを経て、 フリーランスのイラストレーターとして活動中。広告、雑誌、Web、パッケージ、ペーパーアイテム等のイラストレーションを手がける。
福岡麻利子さんのWEBサイトはこちら

解説:紺野うみさん

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
紺野うみさんの読み物はこちら


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暦生活編集部

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