シリウス

月と星 2020.03.11

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こんにちは。星空案内人の木原美智子です。

暖かく感じる日も増えてきて、本格的な春を心待ちにしている草花や動物、昆虫たちの息吹が自然の中で感じられる季節になりました。宙にはまだ、冬の星座と呼ばれる星たちが輝いています。その中でもひときわ明るく輝いて見える星がシリウスです。

シリウスはおおいぬ座の星。ギリシャ語で「光り輝くもの」「焼き焦がすもの」という意味を持ち、その名の通り力強い光を放っています。

そして、シリウスは地球上から見える全ての宙(=全天(ぜんてん))で輝く星の中で一番明るい星。私たち人間が肉眼で見ることができる星の数は全天で8600個あると言われているので、8600個中の一番を見ることができるのは、なかなか貴重な気がします。

シリウスをはじめ、私たちが見ている星の光はリアルタイムの光ではありません。光が伝わる速度はこの世で一番速いのですが、宙の星々は地球からとても遠く離れたところにいるため、その星の光が地球に届くまで時間がかかってしまうのです。

夜空で星座を形作る星々のように、自らの力で光を放っている星を「恒星(こうせい)」と言います。私たちが住む地球から一番近い恒星は太陽です。太陽から放たれた光は約8分の時間をかけて地球に届いています。今、あなたが感じている太陽の暖かさは8分前に太陽を出発したものなのです。

太陽でさえ8分かかるのですから、もっと遠い星はさらに時間をかけて光を届けています。例えばシリウスは地球から約8光年の距離のところにあります。「光年」というのは光が1年かけて進む距離のこと。なので、シリウスは約8年かけて地球に光を届けているということになります。

8年前にシリウスを出発した光が、今ここに届いているのです。

今見えている星の光は、あなたが生まれるずっと前に星を出発したものかもしれません。もしかしたら、歴史的な出来事があったときに放たれた光が、この瞬間にあなたの目に届いているかもしれません。この光を届けてくれた星はもう消滅していて、生きているうちにそれに気付くことはできないかもしれません。

そう考えると、宙に輝く星の光は不思議な力を秘めているような気がします。光の神秘に心が癒やされたり、その壮大さに抱えている悩みがちっぽけに思えたり、時にはその未知の力に怖さを覚えたり・・・。

宙には美しいだけじゃない魅力がきっとあると思います。
宙を見上げれば、昔から人々を惹きつけてきた何かをあなたも感じられるかもしれません。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

そらと

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