こんにちは。気象予報士の今井明子です。
月の美しい季節になりました。
2020年の10月1日は十五夜。旧暦の8月15日の夕方に出る月のことをいいます。
十五夜のまたの名は「中秋の名月」です。旧暦の秋にあたる7月、8月、9月の真ん中の月である8月はちょうど秋の真ん中にあたるため、「中秋」と呼ばれるのです。

ちなみに、「十五夜の月は満月」というイメージが強いと思うのですが、厳密にいうと満月とは限りません。現に、2020年の10月1日の月齢は13.7で、満月の日は翌日の10月2日となります。太陰暦では毎月15日が満月だと考えられてきたため、このようなことになっているのです。
しかし、不思議ですね。満月は年に12~13回あるはずなのに、なぜ秋の月ばかりが名月ともてはやされるのでしょう。

これには、ふたつ理由があります。
ひとつめは月の高度、ふたつめは空気の透明度です。
まずは、月の高度から説明していきましょう。月は夏の高度が低く、冬の高度が高くなります。春と秋はちょうど中間です。

この中間というのが絶妙なのです。
実は、月は時刻によって刻々と色が変化していくことをご存じでしょうか。地表付近に出たばかりの月は、赤っぽい色をしています。そして、昇っていくにつれて黄色から白に色を変えていきます。これはなぜなのかというと、夕焼けで太陽が赤く染まるのと同じ原理が月にも働くからです。

夏は高度が低いため、色の変化がゆっくりです。その一方で冬になるとあっという間に高度が上がってしまうため、すぐに色が変わってしまいます。刻々と変化する色を楽しむのは春や秋がちょうどよいのです。
もうひとつ、月というのは出始めたときのまわりの風景との調和もすばらしいものです。しかし、冬のようにあっという間にのぼってしまうと、それもあまり楽しめませんね。

というわけで、ちょうど中間あたりの高度の春と秋は月を鑑賞するのにぴったりということになります。ここでなぜ春ではなくて秋に軍配が上がるのかというと、春は秋よりも空気が霞んでいて月がくっきりと見えにくいからです。
このように、秋は月を鑑賞するのにぴったりな季節。お団子をほおばりながら、秋の涼しい風を感じてゆっくりと月を眺めると、心まですっきりと澄みわたっていきそうです。


今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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